糸紡ぎ 蓮
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心の中で改めて言い聞かせる。
「レイフォン、その『剄』をお前はどの程度母親から教えられている。使えるか」
「つかえないよ。まえにおしえてもらったんだ」
ここでいう教えてもらった、とは名前だけ教えてもらったという事で使えはしないということだろうと推測する。
恐らく使い方する教えられていないはず。ならばまず、そこから。
思い出すのはずっと昔の色褪せた記憶。父親に初めて教えられた時の事。
「昨日、糸を見たな。あの時どうやってそれを見たのか覚えているか」
問いかけるこちらの瞳をじっと見つめたまま、レイフォンは思い出すように暫し口を閉ざす。
「ちいさなひかりがみえて、なんだろうなってめにぎゅーってがんばって、だんだんみえてきたよ」
「その”ギュー”って感覚は自由に出来るか」
「んー……」
レイフォンは眉間にしわを寄せて周囲を見回す。
「わかんない」
「無理か。ならオレの指を見ろ」
指の先に剄を少しずつ溜めていく。少しずつ濃度が上がっていくそれをレイフォンが認識している事を確かめ、そして近くに立っている木に向け放つ。
小さな破裂音。木の幹が小さく抉れ葉がハラハラと舞い降りる。
次に握りこぶしに剄を集め、その手で木を殴りつける。
拳の跡をクッキリと残すそれは轟音と共に木が揺らし、大量の木の葉が落ちる。
「今のが『剄』だ。遠くに飛ばすことも出来る。力を上げることも出来る」
「おじさんすごーい」
もじゃひげから昇格したらしい。
レイフォンを木の下に座らせ力を抜かせる。
「レイフォンにはこの力を使えるようになってもらう。それにはまず自覚することだ。その第一は腰にある剄脈の知覚。レイフォン、大きく息を吸え」
大口を開けレイフォンが息を吸い込んでいく。
腰を下ろし、息を吸い込み続けるレイフォンの腹部に触れる。
「息を吸うと腹が膨れるのが分かるな。大きく膨らませろ。それを感じ取ったまま今度は息を吐きだせ。それを何度か繰り返すんだ。尻を木の幹に付けてそのまま体を木に預けて背筋を伸ばせ。頭もつけろ。全身の力を抜いて呼吸だけを意識しろ」
言われたままにレイフォンは大きく呼吸を繰り返す。
何度か繰り返したところでレイフォンの髪の毛をひと房掴み、もう片方の手を背中と木の間に入れレイフォンの背骨の上をなぞるように首から腰へと上から下へと動かす。
「慣れたら今度はゆっくりと吸い、溜めてからゆっくりと吐きだせ。吸うときは摘まれた髪を意識して頭の上から下へ。溜めるときは上からの下のイメージのままゆっくりと押さえつけろ。張った背筋を意識しろ。意識は木に預けた背中にだ。今なぞった所を上から下へと意識しながらゆっくりと吸い、吐く時は下から上へ。腹をふくらませず、
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