暁 〜小説投稿サイト〜
IFのレギオス そのまたIF
糸紡ぎ 蓮
[2/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
えたい、だ。ただの馬鹿ではないのか。

「ねえさんももうすぐにさいだよ。いつもえらそうなんだ。いじわるするし。おんなじとしなのに」
「生憎兄弟はいなくてな。姉というものを知らん」
「おかーさんもねえさんのいうこときけって。おじさんもそうおもう?」
「知らん。嫌いなのか?」

 子は首を横に振る。

「すきだよ。いじわるだけどやさしいよ。それにぼくがまもらなきゃいけないんだ。ぶげいしゃだから」
「……母親に言われたのかそれは」
「うん。ねえさんはねー、にんじんきらいなんだ。しらないひととあうと、ぼくのうしろにかくれるんだ」
「そうか」
「でもにんじんぼくのおさらにうつすの、やめてほしいな。おじさん、どうしたらいいとおもう?」
「知らん。それとおじさんというのは何だ」
「ひげー」

 指さされた口元に手をやると伸びた無精髭が皮膚を擦る。
 基本的に煙草を吸う時に邪魔だと思えば切る程度のそれはそこそこ伸びている。
 特に身だしなみを気にする必用のある相手がいなかったのと己の性格からのそれだが、幼子から見れば少なくとも呼び名を決める程度の印象はあったらしい。
 
「もじゃひげー」

 髪の毛の方まで指さされる。
 確かにロクに手入れなどせずクセもある髪だ。世辞にも整っていると言えないのは自分自身知っている。
 一時期入ったばかりのメイドに寝癖と思われ指摘されたことさえある。
 
「ねえねえ、もじゃひげはおかねもちなの」
「こっちにも名前はある。リンテンス・ハーデンだ。おじさんでももじゃひげでもない」
「もじゃひげのおうちおっきいよね。たくさんおんなのひといたけど、けっこんしてるの?」

 聞く耳持たず、という風に子は自分勝手に話を続ける。
 自分の時は名前のことで文句を言った癖に他の相手はどうでもいいらしい。
 この調子ではあと何回呼び名が変わるか分かったものではない。

「あれはメイドだ。家が無駄に広いからな。それと連れ合いはいない」
「つれあいってなに?」
「妻だ。結婚はしてないということだ」
「へー。もてないんだもじゃひげ」

 歯に衣着せぬ言い方で好き放題に言われる。
 家にいるメイドの大半は己の子種目的でその現状だけを見ればモテているとは言えるのだろう。だが己としては不本意なそれを言う気も無いし、言って理解出来るだけの頭も子にはないだろう。
 ごろん、と子が地面に横になる。ここは屋敷のすぐ横であり定期的にメイドが刈っている芝生は整えられ、日差しも相まって昼寝には丁度いいと言えるだろう。

「おい、寝るな」
「ひまー。なんにもしないんだもん。ばーか」

 バカ等と呼ばれたのは一体いつぶりか。
 そう思いつつうつ伏せで目を閉じ始めた子の腹の下に足を入れひっくり返す。
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ