歌い手と笛吹き、出会う
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「あ・・・駄目だ、コレ・・・!」
「意識が、薄れて・・・」
「春日部さん、ジン君!」
「二人だけが影響を・・・?」
そして、その音の影響を春日部さんとジン君が受け、力が抜けたように座り込む。
「僕が受けないのは、さっきのラッテンさんの説明で理解できるけど・・・なんで飛鳥さんも・・・」
―――まあ、魔笛の効果があるから吹き続ける必要はないのだけれど。―――
そのタイミングで、ラッテンさんが言っていたことを思い出した。
「そっか。飛鳥さんの持ってる白銀の十字剣が、魔の属性を打ち消してるから・・・」
「奏君。私が隙を作るから、二人を連れて逃げて」
そして、飛鳥さんがそんなことを言ってきた。
「飛鳥さん、何を言って・・・」
「この状況で、あの二人を放置しておくのは、賢くないわ。そして、奏君のギフトは相手には効かない。役割は決まっているでしょう?」
「・・・ゴメン」
飛鳥さんの言っていることは何も間違っていない。むしろ少し考えれば分かることなので、大人しく従うことにする。
「じゃあ、此処は引かせてもらいますね、ラッテンさん!」
そして、僕は二人を抱えて、その場を走り去った。
???
「逃がすと思ってるのかしら?さあ、行きなさ」
「全員、そこを動くな!」
私は歌い手を追わせようとしたが、赤いドレスの少女がそう言うと同時に、自由が奪われる。
そして、赤いドレスの少女がこちらに剣を向けて突きを放ってくる。
「この・・・甘いわ小娘!」
ふう・・・一瞬あせったけど、永続的なものではないのね。
抵抗しようと思えば消せるのだから・・・大したことはないわ。
「悪魔相手に、その程度の実力で勝てると思うな!」
「が・・・」
そして、剣を避けて腹に蹴りを放ち、壁に打ち付ける。
見れば気絶しているようだ。
「まったく・・・こんな小娘一人のせいで“歌い手”を逃がすなんて・・・とんだ損害だわ。この娘もそこそこのギフト保持者みたいだけど・・・やっぱり、“歌い手”には劣るし・・・」
マスターに怒られそうね・・・今からでも“歌い手”を追いましょうか。
「貴様・・・!」
「あら、怖い怖い。でも、無駄よ?」
そんな私を見て、捕まっている白夜叉がすごんでくる。
「この封印は、特殊な功績でえたマスターの“主催者権限”で出来ているわ。いくら貴女が最強のフロアマスターでも、箱庭の力の元には小さなものでしょう?」
「くっ・・・!」
「じゃあ、私は失礼するわ。早く“奇跡の歌い手”を追わないといけないもの」
そして、私が白夜叉の前から立ち去ろうとすると、激しい雷鳴が、鳴り響いた。
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