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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
夢の狭間で ─戦いの理由─
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はフェンサーと俺の相互不理解による主従関係の崩壊もありえる。
 英雄であるならば残した未練や執着の清算、人としてならば自己の救済あたりを聖杯への望みと解釈していたのに、彼女の聖杯戦争に参加する理由が分からなくなった。

 このまま日が経てばいずれ夢として彼女の記憶を垣間見て、その理由を知ることも出来るかもしれないが、それはフェンサーに対してあまりに不義理だろう。

 前回は偶然だと思ったから放置していたが、二度目からはそうはいかない。
 この関係が続く限り彼女の過去を知ってしまうのなら、その前になるべく彼女のことを知っておきたい。

 そして知ろうと思うのなら、俺の方から彼女に問いかけるべきだ。

「おいフェンサー、居るのか?」
(……なに? 周囲警戒も兼ねて、外で待機しているけど)
「ちょっと話がある。こっち来てくれ」

 数秒の後、起き上がってベッドに腰掛けた俺の目の前に実体化するフェンサー。

 昨夜の報告とか、なんでそんなに魔力が減ってるのかなどの追求はあるが、ひとまず先立った疑問を解消しておこう。

「単刀直入に聞く。おまえが聖杯戦争に参加する理由はなんだ?」
「また突然ね。急にどうしたの?」
「タイミングのことなら特に意味はないよ。とりあえず目が覚めた瞬間に、そういえば聞いてなかったなって思っただけだから。
 ああ、さすがにこれも答えられませんっていうのはナシだからな」

 真名、宝具に続いてこれまで黙秘されたらさすがに困る。
 契約破棄を盾にするか、もしくは令呪使ってでも吐かせてやる。

 俺の目が真剣なのが伝わったのか、少し思案する素振りを見せながらも彼女は答えた。

「この世界でやり残したこと、やらなければならなかったことっていうのがあってね。
 その為の手段として聖杯が役に立つなら貰おうっていうだけ。もしかしたら聖杯が無くても成せるかもしれない」
「? おまえが生きていた時代とは違うのに、それは叶うことなのか?」
「まぁ実際、聖杯が絶対不可欠って訳じゃないから、そこまで大それた願いを持ってるわけじゃないわ。どう、願い事の詳細まで聞いてみる?」
「いや、いい。おまえに俺と一緒に戦う意味と意義があるなら構わない。フェンサーが邪悪な望みを持ってるとは思わないしな。
 必要以上におまえに踏み入らないというのは、俺が最初に決めたことだった」

 これまでに二度、過去を覗き見てしまっているがこれは不可抗力だ。
 フェンサーの心に土足で踏み込むような真似はしないという、自分の中のフェンサーへの約束事さえ守れればいい。

 その誓いがなければ、当初の真名も宝具も秘密という言い分を認めてなどいない。

 今日までに培ってきた人付き合いの信条の影響だ。
 相手はサーヴァントな
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