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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
夢の狭間で ─戦いの理由─
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早く目覚めたものの、夢の余韻を引きずって寝転がったまま。
 すぐさま起き上がって一日を始めようという気も起きず、寝心地がいいわけでもないベッドの上で寝返りをうつ。

(サーヴァントは夢を見ない……夢という共感事象の共有じゃない…………ならあれはフェンサーの記憶の流入を俺が夢として見ていることになる、が)

 前回とは主観の視点が違っていた。
 前は少女の主観での夢だったのに対し、今回は青年の主観だった。

 少女をフェンサーであると仮定した場合、夢は彼女の記憶なのだから主観はフェンサーの物でなければならない。
 ならば青年側の記憶もフェンサーの記憶の一部ということになるが、他者の記憶をフェンサーが保存、保有しているのは何故なのか?

 それに────

「あの起動呪文は、俺の…………」

 俺が黒守の魔術を扱う際に唱える言葉だ。

 独自に考えるスタータースペルではあるが、誰一人とも被らない訳ではない。
 自己の内面に働きかける意味合いが異なれば、言葉という表面上だけの共通点。

 しかしそんな偶然が、果たして起こり得るのだろうか。

(もしかして黒守の一族に縁のある人間か?)

 600年も歴史があれば英雄っぽいことをした者も居たかもしれないし、勝手に持ち上げられたってのもあるかもしれない。
 光のアミュレットからダーナ神話かそれに連なる何者かだと考えていたが、そもそもあんなデタラメな召喚で触媒が機能したかも怪しい。

 黒守はダーナの民の末裔の血を引いていると聞かされたことはあるが、真実など調べようもない。
 触媒が関係ないのなら完全な無作為召喚だし、そうなら一応召喚者と一番相性のいい英霊が選ばれるらしいから、どっかから適当に喚ばれたのか。

 ステータス自体も平均だし、そこまで勇名を馳せた人間ってわけでもないんだろう。

 そのへん気にはなるが、他にも気掛かりはある。

(……聖杯を手にすると、男は口にした)

 彼が少女を救うために聖杯を求めたというのなら、過程はどうあれ聖杯は手に入ったのだろう。

 一度目の夢で、仲睦まじく過ごす二人の幸福を見たのだから。

 ならば聖杯によって救われた筈の彼女が、此度の聖杯戦争に召喚されたのはどういうことだ?

(聖杯希求という戦いの理由が明確なら、何故求めるのかは問い質すまでもないと思ってたが…………)

 戦うために戦う、それが俺の理由。
 聖杯を手に入れる、それがフェンサーの理由……だと思っていた。

 結果として聖杯が手に入るなら彼女に好きに使ってもらおうという方針だったが、事はそれほど簡単な話ではないらしい。

 名も素性も分からずとも、戦うべきを同じくするのならば信頼に足ると考えていたのだが、場合によって
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