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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
夢の狭間で ─戦いの理由─
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 見えぬであろう。苦悶に喘ぎ、日に日に弱っていくあの子の姿が。
 聞こえぬであろう。死の闇に蝕まれていく、あの子の苦悶の悲鳴が。
 ……感じられぬのだろう。それでもなお必死に命を留めようとする、あの子の魂の鼓動が…………!!!」
「っ…………」

 彼女の状態を一番分かっているのは、他ならぬ城主のこの男だ。

 知っているからこそ、理解しているからこそ、変えられぬ定めを受け入れている。
 穏やかに命を終えることが、彼女にとって最も苦痛の少ない、安らぎの最期なのだと。

 しかし────それを認められぬからこそ、青年は今、ここにいる。

「…………分かるんだよ、オレにも。
 見えるんだよ。どれだけ辛くても、懸命に生きようとしているあの子の姿が。
 聞こえるんだよ。独りぼっちの暗闇の中で、必死に助けを呼ぶあの子の声が。
 ……感じるんだよ。自分を決して諦めてなんかいない、あの子の命の胎動が!!!」

 答える言葉に、何も言えなくなったのは城主の方だった。

 切実なる心の叫び。
 何を以て、どう在って、青年は彼女を知ったというのか。

 勝手な事を。世迷い言を。
 想うモノがあるのは何も、青年だけではない。
 族外の、四半世紀程度しか生きていない小僧に、一体何が分かるという。

 分かるはずがない、分からないと否定する意志は、けれど。

 ただ確かなことは、二人の間には、否定しようのない絆があることだけだった。

「………………一年だ」
「……何じゃと?」
「今日から一年以内に。俺が此処に、聖杯を手に入れてくる」
「ハッ、何を馬鹿な。そんなことが出来るものか。千の刻に渡る我らの悲願を嘗めておるのか!?
 それに貴様……その一年の間、あの子に死の苦しみを味わい続けろとでも言うのか?」
「あの子は負けない。絶対に死なない。あんたたちなら、あと一年は延命させられるだろう? その期限までに、俺が必ず聖杯を手に入れてみせる」

 幾百月と待ち続けたなら、後一年くらい待てるだろうと。

 それから青年は、城主を納得させるまでに三日もの時間を要した。



 世界を駆け巡る、長いようで短い青年の聖杯探索の旅。

 聖杯と聞けばどんな場所にも行った。

 東にも、西にも、南にも、北にも。
 火の山、海の溝、空の園、森の奥、地中深く。
 世界のあらゆる場所を巡りに巡って彷徨い続けた。

 一日たりとも休むことなく。

 300の夜明けを迎え、その最果てに辿り着いたのが──────



 彼女を救うべきモノであり。

 青年を終わりへと導くモノだった。









「………………」

 目が覚めてから30分。

 起床時刻より
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