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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
夢の狭間で ─戦いの理由─
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雪に閉ざされた世界。
氷の檻と言って差し支えない凍りついた森は、来る者を拒み、入る者を逃がさない牢獄のようだ。
木々はまるで鉄格子のように林立し、同じ景色が延々と続く道程の最中、何度迷いそうになったか分からない。
結界で隔離されたと錯覚するほど、そこは他者を拒絶する霊気に満ちていた。
雪に覆われ、一面白一色の中、黒衣を纏い歩く青年。
この銀世界において目立ちすぎる身形。
背には蒼い槍を携えて、彼は道無き道を往く。
青年の装備はそれだけではない。
右腕に巻いた黒鋼は魔力で編まれた縛鎖であり、左手首には回転弾倉式の魔弾射出の魔具。
両足には真鉄を仕込んだ法靴、腰に差した二本の剣は概念の篭った魔術礼装。
戦争でもしに行くのかと聞きたくなるほどの重武装だ。
だが真実彼は、戦争すら辞さない覚悟の
焔
(
ひ
)
を心に灯して、この先にある城へと向かっている。
捕われたお姫様を、救うために。
辿り着いたのは荘厳なる城。
永きに亘り紡がれてきた歴史を感じさせる、美々しき孤城だ。
ここに来るまでに、青年は百を超える獣の群れを屠っている。
斬り刻み貫いて、灼き焦がし引き裂いて、全ての命を絶ち切ってきた。
飢餓による暴食本能に突き動かされる獣どもは血と肉に餓えていたが、食物連鎖の一部となったのは彼らの方。
今頃は他の動物たちに死肉を漁られ、原型すら残さず喰らい尽くされていることだろう。
襲われたとはいえ、身を守る為とはいえ、目につく生命総てを殲滅してきたというのに、青年には何の感情の変化もみられない。
返り血すら浴びていない青年は疲労の色すら見せず、数時間前のままの姿で其処に到達していた。
城の入り口となる場所にはただの門扉ではなく、儀礼呪法すら弾き返す城門と一人の門番が存在する。
白装束に身を包んだ、聖女と見紛うほどに美しい女性。
冷たい表情のまま、目前の青年を既に敵として捉え、その手に握られた戦斧を構えている。
「この不夜城の御当主に用向きがあって参った。畏まって門を開くがいい」
「……お断り致します。我が城の領域内には如何なるモノをも通すこと無きよう、主に厳命を受けております。
どうしてもと仰られるならば──────力ずくでということになりますが」
「ふん。ならば押し通る」
聖女の魔術回路が起動する。
並みの術者など軽く凌駕するその魔力は、青年の魔力総量を倍にしても遠く届かない。
尚且つ彼女の持つ戦斧は総重量100kgを超え、人間が扱える武器の範疇を逸脱している。
振るわれるその斬風に薙ぎ払われれば、生身の人間など容易にひしゃげて骨
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