第18話「京都―決戦C」
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全てが終わっていた。
もう、誰もいない。
リョウメンスクナノカミも、ネギも、木乃香も刹那もアスナも……誰も。
儀式が行われた橋の広場。
そこに、一人の男が立ち尽くしていた。
ただ、静かに水面を見つめている。
静かに、ゆっくりと呼吸を繰り返し、最後の英気を養っているのだ。
――持ってくれ、俺の体。
張り詰めた糸のように、細く、鋭く。ただ最後の一戦に向けて。
「来る」
体を伏せて、その途端に先ほどまで体があったはずの箇所をまばゆい光が通過した。対象を外した光はそのまま山に直撃。遠くから見て、一目で分かるほどに大きな穴を開けた。
あれを食らえばひとたまりもない。
ゾッとさせられる思いと共に、其は遂にその姿を現した。水面から徐々に。頭は前後に顔を持ち、腕も一対。それぞれの手には弓矢が握られ、腰には2振りの刀を、足もやはり前後に1対。
自然に腕が震えた。
――強い。
「ふむ、お主が大和猛か。なかなかに強者のようだな……楽しみだ」
身の丈は約3M。完全な人間サイズ、というには少し大きいがとにかく人間のようなサイズになったようだ。水面を跳ね、両面宿儺がタケルの目の前に降り立った。
「宿主がお主を殺せと煩いのだ。ふむ、では一戦、拙者と――」
――ドン。
容赦もなく響いた。
宿儺を押しつぶさんと猛威を振るう。周囲の地面が円状に凹み、潰れる。まるで重い何かが乗りかかったように、宿儺は膝をつく。
だが、それだけ。
ドドン
立て続けに放たれ、地に穴を開け、それは押しつぶされる。
「ふむ……小ざかしい」
何事もないかのように立ち上がった宿儺に、タケルは困ったように頭を掻く。Zガンを放り、ソードを構えなおす。
「ふむ、拙者と打ち合おうというのか、面白い」
「……ふうっ」
それには答えず、息を吐く。
Xガンで戦うのは無謀。先ほどの光は恐らく、宿儺の中〜遠距離攻撃。だったら近距離しかない。Zガンも効かなかったことから効果も薄いだろう。
「ふむ、行くぞ」
宿儺が動いた。
「!?」
消えた。
慌てて首をめぐらせようとして、反射的に首を引っ込めていた。その直後、ヒュンと風切り音と共に髪の毛が数本地に落ちた。あと僅かでも反応が遅れていたら首と胴が離れていただろう。
「……うしろ、いつのまに?」
見えないどころか、知覚することすら出来なかった。慌てて距離を取る。
「ふむ、良く今のを避けた」
宿儺は喜色を満面に浮かべて、今度はしっかりと構えて、タケルを見据える。
――コレは無理だな。
「……はは」
抗う
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