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剣の世界の銃使い
臆病な殺戮者
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「れ、レイトさん・・・人数が多すぎます、脱出しないと・・・!」

俺の後ろに隠れていたシリカが小声で囁きかけてきた。

「あー、ごめんね。早くピナ戻してあげたいんだろうけど」

「え・・・?いや、そういうことじゃなくて・・・」

あー、やばい。そろそろ、危ないな。

「ちょっと嫌なところ見せるから、もう少し下がってて。あ、先に帰っててもいいよ?」

多分、もう戻れない。シリカを巻き込むことはないと思うけど、やっぱり心配だなぁ。
シリカの頭をぽんぽんと軽く叩くと、そのまま橋に向って歩いていく。

「レイトさん・・・!」

その声がフィールドに響いた途端─────。

「レイト・・・?」

不意に賊の一人が呟いた。さっきまでの笑いを消して、記憶を手繰るように視線を彷徨わせている。

「朱のコートと両手に短剣・・・────《臆病な殺戮者》・・・?」

急激に顔を蒼白にしながら、男が数歩後ずさる。

「や、やばいよ、ロザリアさん。こいつ・・・攻略組だ・・・」

オレンジたちの顔が一様に強張った。まあ、そうだろう。最前線で未踏破の迷宮に挑み、ボスモンスターを次々と屠り続ける《攻略組》がこんなところにいるのだから。後ろで同じように驚いているシリカみたいな《ビーストテイマー》よりも《攻略組》は珍しいと言われている。まあ、人数で見れば、ビーストテイマーの方が珍しいのだが。
攻略組は言っちゃ悪いが、廃ゲーマーがほとんどだし。俺もそうだけど、攻略組の奴らって、モンスター見たらあっちが何もしなくても、先に攻撃仕掛けるだろうしなぁ。うん、相手に歩み寄ることができるビーストテイマーの方がすごいと思う。

「こ、攻略組がこんなとこをウロウロしてるわけないじゃない!どうせ、名前を騙ってびびらせようってコスプレ野郎に決まってる。それに──もし本当に《臆病な殺戮者》だとしても、近づけばたいしたこと無いわよ!!」

「そ、そうだ!攻略組なら、すげえ金とかアイテムとか持ってんぜ!オイシイ獲物じゃねえかよ!!」

ロザリアの一言で勢いづいたように、オレンジたちが叫んだ。

「こんな事なら、誰か連れてくればよかったかな・・・」

ぼやきながらも、橋がかかっている先端にたどり着くと、またシリカに呼びかけられた。呼びかけられたというよりは、叫ばれたの方が正しいか。

「レイトさん・・・無理だよ、逃げようよ!!」

後ろでまだシリカが何か言ってるが、もう聞こえなくなってきた。そして、両腕をだらりと下げる。それをオレンジたちは諦めと取ったのか、ロザリアなどのグリーンプレイヤーを除いたオレンジたちが武器を構え、猛り狂った笑みを浮かべ、こちらへ向ってきた。


すまんね、限界だ。

プツンと頭の中で何かが切れる。

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