第5章 今のレイジと記憶のレイジ。そして金髪の少女との出会い
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何故その石があんな化物に変化させられるんだ?」
「それは私にも分からないわ、やってみたらそうなったのだから。しかも作り手の命令を忠実に聞いてくれる。これは本当に使えるわ………」
「お前………!!」
「今私を殺す?その腰に付いている刀で。そうすればあなたは英雄になれわよ?」
立ち上がり刀に手を添えても物怖じしないアンネローゼ。
そんなアンネローゼを見て、そっと手を下ろした。
「殺さないの?」
「アリシアの前でそんな事出来ないからな」
「………」
流石のアリシアも食事の手を止め、俺達の事を見ていた。
特に俺を凝視している。
「悪いな、そんなつもりは無かった。許してくれ………」
頭を撫でると再び食事に集中するアリシア。
「良いの?こんなチャンス、二度と無いかもしれないわよ?」
「………それでも俺はお前を殺せない。俺は本当はお前が優しい奴だと思うからさ」
「優しい………?私が?」
「だってアリシアに向けてた顔は姉の様に優しさに満ち溢れていた。そんな奴が世界の破壊なんて出来ると思えない」
「いいえ、やるわ。今回やっと巡って来た機会なのよ。私だけこの時代に来たのはきっとこの為なの。だから………」
「違う、そんな事………」
「それはあなたには分からないわ」
「だが、お前は記憶を無くしてこの世界に迷い込んでいる俺やアリシアと同じだ。だからこそ、そんな使命の為にやって来たなんてとても思えない。頼む!!この世界にだってお前の思う人達がいるはずだ!」
「本当にそう思ってるの?私は貴方と違って待ってくれる人も居ないわ。私は魔族。この世界では生きづらいのよ………」
「だがレオ達なら………」
「もうこれ以上はお互い譲らないでしょうし、ここで話は終わりね」
そう言って残念そうに言うアンネローゼ。再びスプーンを手に取り、シチューを飲み始めた。
「アンネローゼ!!」
「………覚えておきなさい。近い内に必ず行動に移すわ。その時私は過去に行き、本当の未来を手にする」
「その為に、今隣にいるアリシアさえも犠牲にしてか?」
「………覚悟は出来てるわ」
「だったら何でアリシアのめんどうを見ていた?見捨てるなら最初からそうすれば良かったんだろ?」
「………」
その問いの答えが出ないアンネローゼ。
コイツ自身まだ迷いがあるのだ。
今ならまだ………
「アンネ」
「アリシア?」
そんな中、アンネローゼに話しかけるアリシア。全く話を聞いてなかったような気がしたが、どうやら聞いていたようだ。
「アンネは1人じゃないよ?」
「!!」
そんな言葉に驚きを隠せないアンネローゼ。
そして………
「………あんた達に何が分かるのよ!!」
そんな叫び声と共に、アリシアの頬を叩いた。
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