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ドリトル先生の来日
第一幕 困っている先生その七
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「兄さんもね」
「結婚ねえ」
「誰か見付けた方がいいから」
「移住してそこで会えればいいね」
「イギリスにいなくてもね」
「うん、誰かいてくれるかな」
「相手は星の数程いるわよ」
 サラは結婚相手にも困らないというのです。
「兄さんは私に似ないで冴えない容貌だけれど」
「お父さんに似たからね」
 そしてサラはお母さんに似たのです、兄妹で全く似ていないことについてはこうした遺伝の理由があるのです。
「髪の毛があるからまだいいじゃない」
「それでも性格はいいから」
「大事なのはそれだけ」
「うちの主人も性格がいいから一緒になったのよ」
「あの人は確かにいい人だね」
「兄さんは公平だし優しいから」
 人種差別はおろか動物だからといっても差別をすることはしないのが先生です、しかも。
「誰かに媚びないし温厚だし」
「だから僕の性格はいいっていうんだね」
「そう、かなり世間ずれしてて抜けてるところも多いけれど」
「それでもだね」
「兄さんならいい人と会えるから」
「じゃあ誰かに巡り会えることを期待して」
「移住も考えてね」
 イギリス以外の国にというのです。
「出来ればヨーロッパ以外の場所にね」
「じゃあやっぱりアメリカかな」
「ニューヨークで暮らしてみる?」
「いや、ニューヨークは柄じゃないよ」
 先生は自分でニューヨークは自分に合わないと思いました、あの街にはというのです。
「多分マイアミとかロサンゼルスにもね」
「そうね、兄さんはのんびりしているからね」
「何処かの田舎町で静かに暮らしたいね」
「そういう場所を探してみる?」
「うん、郊外の何処かをね」
 少し具体的な話もしました。
「そうしようかな」
「何処に住めとまでは言わないから」
「自分で選んでだね」
「よく考えてね。じゃあまたね」
「うん、またね」
 兄妹で別れの挨拶をしてでした、サラは自分のお家に帰りました、先生は人間としては一人になったところで動物達にあらためて言いました。
 テーブルの席に戻ってです、こう言ったのです。
「さて、本当にどうしようかな」
「先生、アメリカに行くの?」
「あの国にするの?」
「どの国にするかはね」
 移住してもだというのです。
「そこをどうするかは」
「まだ決めてないんだ」
「そこまでは」
「今日考えだしたところだからね」
 そこまではとてもだというのです。
「ましてや僕はね」
「うん、騒がしい街は博士に合わないしね」
「ニューヨークとかみたいな場所はね」
「人ごみは苦手だよ」
 ドリトル先生はそうした場所は苦手です、ですがそれでもです。
「人がいてくれないとね」
「そうそう、患者さんがいないから」
「結局は同じだよ」
 動物達もそのことを言います。
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