XII
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「さて、これからのことについて話そう」
桐条の仕切りによって作戦会議が始まる。
森山夏妃と江古田は別室に移し、舎弟に見張らせているので今は居ない。
「は、はい!」
当然と言えば当然だが……美鶴と以外の人間から俺は避けられている。
同じ部屋に居るのだが、意識的に俺を見ないようにしているのだ。
岳羽、伊織、真田は当然として――あの公子も俺にどう接すればいいか分からずにいるようだ。
だがそれも無理からぬこと、それだけ俺は頭に血が上っていた。
「先程森山から聞き出した声、あれは恐らく山岸のものだろう」
「風花は恐らく今もタルタロスで生きている」
「だろうな。であれば話は早い。今夜、体育倉庫の中で影時間を迎えよう」
それがベストな選択だろうな。
中に入ったまま影時間に移行するのは初めてだがやるしかない。
風花が辿った道筋通りにやらねばアイツの居場所が分からないだろうし。
「で、でもどうやって夜の学校に入るんですか?」
岳羽の疑問は尤もだが――それくらいならば幾らでも手の打ちようがある。
何せこっちの顧問は理事長だからな。
「それに関しては私に任せてくれ。学園の警備システムを落とす。その上で堂々と入ればいい」
…………何があったか分からないが、美鶴は変わっている。
今の彼女は家の力を使うことを忌避していた頃とは別人だ。
僅かな短時間で何を見つけたのか。
「鍵に関しては理事長に持ち出させる、あるいは……面倒ならば力づくでもいいだろう」
俺が考えていたこととまったく同じだった。
警備システムを桐条の力で落とすのは考えていなかったが……
ダーティな手段に躊躇いがまったくない。
「実動部隊の編成は有里、君に任せる」
「は、はい!」
「では、何か質問は? ないならば早く帰って英気を養ってくれ。救出作戦は今夜だからな」
質問はゼロ。
他の連中は我先にとエスカペイドを後にする。
…………自業自得だが、俺のせいだ。
流石にあんなものを見せられて戸惑いを覚えない方がおかしい。
部屋に残されたのは俺と美鶴だけ。
「帰らないのか?」
「ああ、少し君と話がしたくてな」
「……あのな、病院行けって言っただろ?」
「問題ない。君が処置してくれた」
「処置って……」
確かにそれなりの処置は施したと思っているが、そもそも俺は本職の医者じゃない。
後遺症が残る可能性だってあるのだ。
だと言うのに呑気すぎやしないかこの女王様は。
「それも含めて、だ。譲歩を引き出すための覚悟だよ」
「だがなぁ……」
「障害が残ったのなら裏瀬、君に私の腕になってもらおうかな? 責任を取ってくれというやつだ」
ニヒルな笑み
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