第二十話 〜休日と嫌な予感 前編【暁 Ver】
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由はあたしもスバルも知っている。実を言えば、あたし自身もアスナに負けないほどに──── 楽しみなのだ、今日は。
あたし達が疲れと一緒に泥と汗を流し、食堂で朝食を摂っていると、設置されているスクリーンから高圧的な声が流れてきた。レジアス・ゲイズ、か。シグナム副隊長によると古くからの武闘派らしい。過激な主張を繰り返す武闘派の考えそうなことなど、子供でも容易に想像できる。何をやろうと知ったことではないが、あたし達のお世話にならない事を祈るばかりだ。
『伝説』と呼ばれた三提督も同席していたようだが、すでに興味を失ったあたしは目の前にある朝食を片づけることに専念していた。スバルは最初からスクリーンなど見てはいないし、アスナは嫌いなおかずをザフィーラへ押しつけるのに忙しいらしい。そんな時、食堂へシャーリーさんがやってきた。
「あ、いたいた。ティアナ、食事中ゴメンね。業者さんが来てるよ。納車の手続きをお願いしますって」
あたしが業者相手に納品書へとサインしていると、興味を持たれたのか人が集まってきた。
「いいな、新車か。サイドカー付きとは珍しいな。何処のヤツだ」
ヴァイス陸曹が物珍しげに、それを覗き込んでいる。そう言えばこの人も好きだったか。フェイトさんも同様に見ている。フェイトさんは車専門だと思っていたが、やはり興味はあるらしい。
「メーカーは、B.M.Sです。サイドカー部分は特注になっちゃいましたけど」
「マジかよ。結構、値が張っただろう……ん? サイドカーは取り外しできるのか」
「はい、取り外し可能です。ソロでも走れるように。値段は」
あたしは少しだけ言い淀んだ。
「ちょっとした、コネで。それでも貯金の半分以上が消えましたけど」
アスナには感謝だ。そう、今あたしの目の前にあるのはサイドカー付きのバイク。サイドカー部分は取り外しが可能なカスタマイズ仕様だ。ざっと見た感じ、転倒防止用のオートジャイロや、ライダーを守る為の防護フィールド発生装置も問題ないようだ。色は散々迷ったが結局、無難な黒にした。陽射しを浴びて輝くその姿は、速く走ってくれと言っているようにも思えた。
元々、単車が好きだったという理由もあるが、自分の足が欲しかった為に購入を決意した。この手の買い物は選んでいる間も楽しい。そんな気分でカタログを眺めていたところに、スバルが食いついてきた。買ったら後ろへ乗せろと執拗いスバルに辟易しながら、了承したところへ態とじゃないかと思えるタイミングでアスナがやってきた。
仲間はずれにされたと盛大にへそを曲げたアスナへ、スバルと順番でと妥協案
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