閑話3 〜追憶の日々 -again【暁 Ver】
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────── サンタクロース。それは『戦う者』である
サンタクロースをいつまで信じていたか? そんなことをアスナが以前聞かせてくれた物語に登場する主人公のように、あたしも少しだけ語りたいと思う。
物心つく頃には両親はすでに他界しており、あたしは兄と二人きりで生きてきた。その兄もあたしが幼い頃に殉職し、両親と兄が残してくれた遺産で生きていくしかなかった。たった一人で。そんなあたしが、サンタクロースなどいないという事実を割と早い段階で知ることになったのは、必然だったと思う。
ミッドチルダに於ける『クリスマス』の起源は諸説あるが、スバルのご先祖のように何らかの原因によってミッドへと飛ばされてしまった『地球人』である次元漂流者が広めた。という説が一般的になっている。その証拠に、なのはさんや八神部隊長から聞いたクリスマスが地球のそれと、そっくりなことが挙げられる。
少し話が逸れてしまうが、教官とお兄さんへこんな話をしたことがある。あたし達が住んでいるミッドチルダの風習や文化。それに言語体系。一般常識や倫理観が非常に似通っているのは、歴史にも記されないほどの遠い昔。大勢の地球人がミッドチルダへと流れ着き、そのまま根付いたのではないか? そして遙か遠い昔には地球と交流があり、ミッドに最初からいた人達の幾人かは、地球へと移住した人がいたかも知れない。なのはさんや八神部隊長は──── そんな人たちの『血』を引いているのではないか? そんな話をしてみると、二人はあたしの何の証拠もない妄想を聞いても呆れることなく、こう言った。
「時間軸がずれて飛ばされた可能性もありますしね。純粋な『地球人』である筈の高町さんや八神さんに魔法を使うための『リンカーコア』などという器官があるのも、隔世遺伝として一応の説明はつきますか。それがもし本当だとしたら歴史の浪漫を感じますし……とても面白いですね」
この人は、あたしやスバル。そしてアスナのような子供が荒唐無稽なことを言い出しても決して頭ごなしに否定したり馬鹿にしたりはしない。アスナを小さな頃から育てたというのは伊達ではないのかも知れない。教官に至っては
「……ふむ。興味深い話ではあるな。確証となる文献などが発見できればいいのだが。調べてみる気があるのなら『無限書庫』の閲覽許可を申請しよう。心ゆくまで調べるといい」
凄い真面目な顔をして言われたことがあった。二人ともベクトルは違うが、やはり大人なのだと感心した物だった。無限書庫を使う機会は結局訪れなかったが、別に真実が知りたかったわけじゃない。興味をもった。唯、それだけの話だ。真実は一つしか無いなどと言うけれど、真実は人の数だけあるのだと思う。
百人の人間が「それは林檎です」と言
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