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ゼロの使い魔 新たなる物語
第3話 決闘
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言葉に詰まるルイズ。そんな必死に()めされようとするルイズを見て、ギーシュが言った。
「ルイズ、もしかして、君はそこの平民が好きなのかい?」
 その言葉を聞き、ルイズの顔が怒りで赤く染まる。
「誰がよ! やめてよね、そういうの! 使い魔がみすみす怪我するのを、黙ってみていられるわけないじゃない!」
「……誰が怪我するって? 俺はまだ平気だっつの」
「サイト!」
 立ち上がった俺を見て、ルイズが悲鳴のような声で、俺の名前を呼ぶ。
(そういえば……)
「……お前、やっと俺を名前でよんだな」
 そんな、ふと気が付いたことを言ったのだが、ルイズがそれをスルーし、震えながら言ってくる。
「わかったでしょう? 平民は、絶対にメイジに勝てないのよ!」
「……ちょっと油断しただけだ。いいからどいてろ」
 そう言って俺はルイズを押して、横へ退()ける。
「おやおや、立ち上がるとは思わなかったな……。手加減が過ぎたかな?」
 そんな挑発を言ってくるギーシュ。どうやら俺がトレイで守ったことに気づいていないらしい。
 ……というか、ルイズや周りにいる生徒は多分、俺をボコるギーシュを見に来たのであって、俺自身を見に来たわけじゃないのだ。
 だから俺の事を始めからが余り見ていない。だからトレイなんて決闘にどうでもいい、給仕にしか必要のない物を持ってきても、何も言わなかったのだ(さっきの生徒たちの歓声の中にも、トレイについては何も聞こえなかった)。
 ギーシュも俺のことなんかナメきっていて、トレイの事なんか気づいていない。
 同じくルイズも俺が怪我をすることを心配していても、それはあいつの頭には、『戦えば俺が怪我をする』と思っているからで、ほとんど俺の事を見ていなかった。
 もしくは気づいている奴はいるけど、何も言ってこないだけかもしれない。ギーシュだって『トレイなんかを決闘に持ってくるなんて、平民の考えることは分からない』と考えた結果、何も言ってこないで挑発してきたのかもしれない。
 その事を込みで言ってやる。
「バーカ、全然効いてねぇよ。お前の人形(ゴーレム)弱すぎ。倒れたのはちょっと魔法ってやつに驚いて、油断しただけだ」
「――っ! そうかい……!」
 俺が挑発すると、ゴーレムがさっきより速く迫ってきて、再び拳が飛んできた。
 その放った拳は速すぎて見えなかったが、迫ってくる人形の肩に目がけてトレイを突き出すくらいは出来た。
 拳の発射口にトレイを近づけたことで、殴れる範囲選択が狭まった拳はトレイの丁度へこんだ面に当たる。
 すると、人形(ゴーレム)を受けたトレイから突然、人形の方に向けて砂のようなものが舞う。
 ――原因は昨日寝るときに寒かったからと使っていた貼るタイプのカイロを、さっきルイズが話している間に、丁度さっき
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