第十九話 〜活躍と暗躍 ホテル・アグスタ【暁 Ver】
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と言う傍迷惑な習性を持っており、ミッドチルダでも年間数人規模ではあるが、必ず怪我人の報告が上がる昆虫である。基本的に夜行性であるはずなのだが────
「なんでこの虫さん達はついてくるですか……取り敢えず帰投しましょう」
──── その理由はきっと『彼女』が知っている。
桐生はトラックの荷台へと『転移』すると、目的の木箱と共にトラック外へと再び転移した。しかし、ここで桐生はミスを犯す。木箱をそのまま、バークリーへと転移させるか、自分と共に転移すれば良かったのだ。トラックの脇に木箱を運び出した桐生は、蓋を開けようと試みる。しかし、それは叶わなかった。何者かの気配を感じ振り返った視線の先に──── 『異形』がいた。まるで人に昆虫の鎧を着せたかのような異形が。
明らかに人ではない。だが、桐生の思考が真白に染まったのは一瞬で、彼は賭に出た。
「あぁ、彼の使いだな? 話をしていた物はこれだ。中身を確認してくれ。確認できたら、持って行ってくれて構わない。俺も危ない橋を渡ってるんだ、とっととこの場から離れたいからな」
桐生は立て板に水を流すように早口でまくし立てると、木箱の上蓋を外し、そのまま数歩後ろへと下がった。異形の目からは何も読み取ることは出来なかったが、それはゆっくりと木箱へと近づき、中身を確認するように覗き込む。数分か、それ以上か。暫く微動だにしなかった異形は中身を取り出すと、唐突にその場から消え失せた。転送用の陣が一瞬見えたので、転移魔法だろうと当たりを付ける。
桐生は大きく息を吸い込むと、盛大に息を吐いた。どうやら、上手くいったようだ。桐生は手に持っている木箱の上蓋をひっくり返す。そこには──── 自分とアスナの遺伝子情報が納められたデータディスクが、テープで貼り付けられていた。
「持ちだした人間が小細工をしてくれていた御陰で助かりました。それにしても」
中身をろくに確認もせずに持って行ってしまった。骨董品とだけ聞かされていたのかも知れない。あの異形が、思考するだけの知能がない可能性もある。いずれにせよ────
「目的は達しましたし、帰りますか」
先ほどから外が何やら騒がしい。少しだけアスナの樣子を見たい衝動に駆られるが、気持ちを切り替える。桐生は上蓋を大事そうに小脇へ抱え込むと、無人の駐車場から──── 消えた。
「ティア。前線のガジェットは、シグナム副隊長達が全て撃墜したって。召喚士はやっぱり追えなかったみたい。あと、リイン曹長が軽傷。虫に襲われて、虫が助けてくれたとか、何とか。あたし達は念の為に、このまま警戒態勢を維持だって」
虫、ね。
「……了解。スバル、エリオ、キャロはここに残って。あたしとアスナは裏手の警備に廻
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