第十九話 〜活躍と暗躍 ホテル・アグスタ【暁 Ver】
[8/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
む美貌の」
「五月蠅い。……どうしたの、キャロ?」
「はい……近くで、召喚魔法を使った人がいます」
キャロがおずおずと差し出した左手。そこには不安がるように明滅を繰り返すケリュケイオンのコアがあった。召喚、ね。ガジェットの動きが急に良くなった事と関係あるのかしらね。
「召喚魔法を使った人間に関しては、シャマル先生達に任せましょう。あたし達は警戒レベルをAからBへシフト。引き続き警戒に当たる。いいわね? アスナも……アスナ、どうしたの?」
アスナは、ここに来た時と同じように木々を見つめている。その時。風が吹いてもいないのに──── 森が騒めいた。
リインフォースUは自分の迂闊さを呪っていた。召喚魔法を行使したと思われる場所と人物を特定する為に、単独で索敵していたところ……襲撃を受けた。明らかに自然にいる虫とは違う……銀色の『蟲』。
それが、召喚虫だと理解するのに、それほど時間は掛からなかった。せめて召喚した人間を特定しようとも考えたが、それもままならない状態だった。何の感情も、意思も伺い知ることの出来ない無機質な『蟲』が、リインへと襲いかかっていた。攻撃をかわしきれず、右脇腹へとダメージを受ける。
「痛った……数が多いです。でも、なんとか」
後方から迫る数匹の『蟲』を振り切るべく、スピードを上げようとした時。彼女は動きを止めた。止めざるを得なかったのだ。前方に、彼女を逃がさんとばかりに数十匹の『蟲』が不気味な羽音を立てながら漂っていた。
「うそ……まだ、いたですか」
リインが左右どちらかへ逃れようと体を捻った時。銀色の『蟲』は恐ろしいほどのスピードを伴い、前後からリインへと襲いかかった。
「あ……」
リインが目を瞑った瞬間。それは青空から彗星の如く飛来した。力強い羽音と共に。
一向に襲ってこない痛みを不思議に思いながら、恐る恐る目を開けたリインの視界に飛び込んできたのは、今正に自分へと襲いかかろうとしていた『蟲』が、上空から次々と飛来する『虫』に叩き落とされている光景だった。
「な、何が起きてるですか」
彼女が戸惑っている間に、銀色の『蟲』は唯の一度もリインへと牙を剥くことは叶わず、リインが落ち着いた頃には全て終わっていた。そして、それを成し遂げた数匹の『虫』が、シューティングゲームの自機に於けるオプションの如く、リインの周りを飛び回っていた──── 彼女を守るように。
『bullet・bug』と呼ばれるミッドチルダに生息する固有種。カブトムシなどと同じく堅い外骨格に覆われており大きさも同程度だ。甲虫目に属するこの昆虫は、機器などから発生する一定の周波数に反応して、時速150q以上で飛び込んでくる
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ