第七十六話 有為転変は世の習い
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るような卓越した技量を持つ一部のパイロットが行っていることであり、本来なら殆どのパイロットはクラウと同様の行動しかしない。そして、マーレとクラウの技量を分かつとしたら、ある意味ここが分水嶺なのだろう。
『仕掛けてくる気か!』
レイの方もマーレのRFゲルググの反応の違和感に気付く。これを防げなければ自分が落とされるという事も同時に確信した。
『来るなら来い……』
銃身が焼けつくすまで撃ち尽くして蜂の巣にしてやると言わんばかりの意気込みでドラグーンを展開させる。ドラグーンの稼働時間を考慮している時ではないだろう。少なくともこの攻勢を凌げば一気に状況はレイの有利に変わる。レイとしても時間を稼ぐだけの戦いはつまらないと感じていた。
そして、RFゲルググは二本のビームサーベルを抜いて突撃し、レイはそれを狙い打たんとばかりにドラグーンとビームライフルを構えたその瞬間――――両者の間とお互いの機体付近をビームが通り過ぎ、両者がそれを回避したせいで一瞬の攻防の為の集中が途切れる。
『これで二人とも戦闘終了ね。空気読まずに介入したのは悪いと思ってるけど確実に止めないといけないわけだからさ』
三射のビームを放ったのは議長に後始末を任されたクラウ・ハーケンであった。
「何の真似だ?」
『全く同じ意見です。何のつもりですか?』
集中力や気勢をそがれたと言っても彼らは別に動けなくなったわけではない。良くも悪くも極限まで集中していた状態から普段通りの状態に戻っただけだ。
『今はまだ舞台が整っていないって事だよ。好き勝手やり合うのは良いけど時と場所を選んでほしいな』
言っていることは正論なのだがそういう状況ではない。彼らからしてみれば寧ろ時と場所を選べることなどそうそうないと言いたいだろう。
『まあともかくレイはメサイアに撤退。マーレもアスランを追ってミネルバに向かえばいいと思うよ』
「――――見逃すって事か?」
『そう捉えたならそういう事なんじゃないかな?』
あくまでも本音を言うつもりはないとばかりにクラウは通信越しでもわかる様な飄々とした様で対応する。
『ま、議長の命令だからね――――権限を与えられたからどう処理するかは俺の采配らしいし』
つまり、現時点でどちらが敵というわけでもない両者に対してクラウは両者の言い分を認めてやれば良いと判断しただけの事だ。
『……了解した。ギルの命令なら従おう』
先に銃口を下ろしたのはレイの方だった。こうなれば戦闘を継続する意味を持たないマーレの方も銃口を下ろす。互いに予期せぬ介入であったものの、一時的に戦闘は収まる事となった。
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