第七十六話 有為転変は世の習い
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が出来ないというのなら、貴方に平和を望む資格などありはしない!』
「平和云々の資格がどうとか一々他人に指図される言われがあってたまるか!」
放たれるドラグーンのビームを回避し続けるマーレ。一見、会話をするほど余裕を保っているかのように見えるが、実態は逆だ。会話をすることで少しでも相手の気を逸らそうとしている。議長の演説は全周波数によって言い放たれていた以上、マーレにもその内容は当然聞こえていた。
その演説内容から察するに、おそらく自分たちは昨日まで共にした隣人であり、かつての英雄ということだ。流石に今のザフトの部隊の中心にいる状況下でレイへの対応と同時にザフト軍を相手にすることになればマーレとしても厳しいものがある。
「時間があまりないか……」
未だにどちらにも周りのザフト軍からの援護がないのはどちらが敵でどちらが味方なのかが定まっていないからだ。しかし、デュランダル議長が演説を行った事と同様に、マーレが敵であると発言されてしまえばその時点で十中八九、周りからの攻撃を受けることになる。そうなればドラグーンを狙うのに進行方向先にいるザフトを構って撃つのを躊躇う必要もなくなるが、だからといって大量の敵に囲まれるのはよろしくない。
『投降すれば命だけは保証してあげます。私は此処で貴方を釘付けにするだけでもいいんですよ?』
そしてマーレにとって更に厄介なのはレイもそのことに気付いているという事。そのせいで無理な攻勢を仕掛けることもなく、ただ状況の問題解決を先送りにしていると言ってもいい。
「賭けるか?分は悪くないよな――――」
状況を打破するには自分の方から動かなくてはならない。マーレはRFゲルググのコンディションを確認し、位置情報を把握し、攻め手に出る準備を整える。戦闘時におけるマーレとクラウの最も顕著な違いと言われればそういった事前準備のタイミングだろう。
「エネルギー供給、各部充填率……各関節部干渉、損耗率共にオールグリーン――――フィードフォワード制御再起動……伝達関数、コリオリ偏差修正」
マーレは乗る前にも当然自分なりのチェックを行うが、技術者陣営の事を信頼しているため、そこでの確認は保険のようなものだ。そして、いざ戦闘時となった段階で大きく変化が起こる(あるいは起こす)直前に簡易ながらももう一度確認するのだ。そうすることで戦場においてもベストとは言わずとも常に機体のコンディションをベターな状態へともっていける。
一方でクラウは技術者としての自負もある為、戦闘時における機体の確認はそう多くない。勿論、最低限の確認や損傷時の確認は怠らないが、マーレのチェックと比べれば明らかに甘いチェックと言える。その為、彼は戦場に出て機体が落とされることが多いのだ。
しかしながらこれはマーレや戦場で調整を行え
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