第七十六話 有為転変は世の習い
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
サーペントテールはイライジャが負傷したことによって一時的に活動を停止していたものの、MSのパイロットである劾とイライジャの二人が地上で、リードや風花、ロレッタの非戦闘要員とも言える三人は宇宙にいたこともあり、活動再開の為に劾は先に宇宙に上がるように準備していた。
「劾、本当に行くのか?」
イライジャはそう言葉を掛ける。イライジャは今自分が動けないことが情けなかった。デスティニーとの戦いでストライクルージュが大破した時にイライジャも自身も負傷していた。劾と一緒に宇宙に上がろうにも今の怪我の状態では戦力にならないどころか足を引っ張るだけとなってしまう。
劾とイライジャの機体も宇宙でいる三人が預かったままであり、自分だけが地上で休んでいる状況に悔しさが込み上げる。
「イライジャ――――お前は回復に専念しろ。大丈夫だ、俺も無理をするつもりはない」
そういった慰めの言葉がかえってイライジャを卑屈にさせる。自分は足手纏いでしかないのかと、また劾に負担をかけてしまうのかとそう思うのだ。
「劾……」
「――――治ったらお前にもすぐに仕事に戻ってもらう。それまでの休暇だと思っておけばいい」
劾はお前の事を信頼していると遠回しにそう言ってイライジャの自己嫌悪による劣等感を軽くさせる。
「先に行って待っている。遅れるなよ」
「ああ、わかった――――」
長い付き合いというのもあってか多少持ち直したイライジャは意志を強くして頷く。負傷していても、地上でいても出来ることはあるのだ。傭兵の繋がりを利用して自分なりに情報や資材を集めたり、知り合いや仕事仲間と顔を合わせたりといった裏方の仕事だ。
普段ならリードやロレッタがそういった仕事をするのだが彼らは先ほども言ったように今は宇宙にいる。なら地上で成すべきことを自分がやるべきだろう。
「体を休めろよ。そこまで仕事にこだわらなくてもいい」
「わかっているさ、劾の方も俺が言うのもなんだけど……気を付けてくれよ」
「フッ、了解した。無理はしないさ」
そう言ってイライジャが休んでいた部屋から出て劾は宇宙へと向かう船に乗る準備を整えていった。
◇
「ちょっと前まで地上に戻ってきたっていうのにもう宇宙の方に行くことになるなんてな」
最近まで地上で活動していたジャンク屋のロウ・ギュールはロンド・ミナ・サハクが管理し、現在のジャンク屋の拠点となっているアメノミハシラに来ていた。
「ま、俺達ジャンク屋として直すのも仕事だしな」
彼の過ごす時間軸としては本来ならば地上でマーシャンと共に行動している筈なのだが、様々な所で微妙なすれ違いが発生したこともありロウ達は現在宇宙で活動を行っていた。
「それにしてもすっげーな。極限まで
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ