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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百話 異質
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まれますな」
「同盟も恨まれる事では大して変わりません。一時的にしろフェザーンを見殺しにするのですからな」
私とシトレ元帥の会話に皆が沈んだような表情を見せた。ヴァレンシュタインだけは自分は無関係だとでも言うように食事を進めている。

「フェザーンを一度叩き潰すというのは分かるが他に手は無いのかね? このままでは全く無関係の人間まで巻き添えを喰う事になるが」
「有りませんね」
「……」
レベロ委員長の問い掛けにヴァレンシュタインが冷淡に答えた。絶句する委員長を見ながら一口オレンジジュースを飲むとフッとヴァレンシュタインが嗤った。

「貴族連合軍をフェザーンに誘引するのは政治的な理由だけじゃ有りません、軍事的にもフェザーンに誘引せざるを得ないんです、そうしないと勝てません」
「……」
「貴族連合軍を殲滅するには彼らを一カ所に集めておく必要が有ります。最善の手は彼らを同盟領に引き摺り込み包囲して殲滅する事ですが彼らにそれが通用するかどうか……」

皆が顔を見合わせた。ややあってホアン委員長が口を開いた。
「通用しないのかね?」
「その可能性が有ります。彼らは軍を率いていますが軍人ではない、軍事常識が通用しないんです」
「……」

「彼らにはまともな戦略目標などないし作戦も無い。基本的に彼らは烏合の衆です、纏まって行動するなどという発想は皆無に等しい。イゼルローン要塞経由で同盟領に誘引すればイゼルローン回廊を出た瞬間にバラバラに散りかねない」
「それは……」
シトレ元帥が顔を顰めた。

「そうなったら同盟軍はバラバラに散った貴族連合軍を追いかけなければなりません。同盟領内で追いかけっこが始まりますよ。但し、遊びじゃありません、命懸けの追いかけっこです。一つでも取り逃がせばどうなるか……、有人惑星に辿り着けばあの馬鹿共は核攻撃をしかねません」
「馬鹿な!」
レベロ委員長が吐き捨てたがヴァレンシュタインは苦笑を浮かべてオレンジジュースを一口飲んだ。

「馬鹿なじゃありません、彼らにとって同盟市民は憎むべき叛徒であり抹殺すべき存在なんです。核攻撃は有り得ない事じゃありません。そしてそうなったら和平など吹き飛んでしまいます。あとは泥沼の戦争が続くでしょう……」
皆が黙り込んだ。確かに和平は吹き飛ぶだろう、そして核攻撃は有り得ない事ではない……。

「確実に勝つためには彼らを一カ所に集める場所が必要です」
ヴァレンシュタインが皆を見回した。
「それがフェザーンです、連中は甘い果実に集まる虫の様にフェザーンに群がるでしょう。そこを一網打尽にする……。詰まらない感傷は捨ててください、命取りになりますよ。同盟領には一隻たりとも侵入を許すことは出来ないんですから」
そう言うとヴァレンシュタインはまたサンドイッチを口に運
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