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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百話 異質
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つのグラスにワインが注がれ、一つのグラスにオレンジジュースが注がれた。一口味わう、なるほど同盟産のワインも悪くは無い。
「トリューニヒト国防委員長、ここに集まったのは和平派の方々、そう思って宜しいのかな?」
「その通りです、今はこれだけですがこれからは徐々に増えるでしょうな」
国防委員長に気負った様子は無い、他の四人も同様だ、自信が有るのだろう。
「レムシャイド伯、明日はサンフォード最高評議会議長に会っていただきます」
「それは楽しみですな」
最高評議会議長、同盟の最高権力者に会う、どのような人物か、ヴァレンシュタインはあまり評価していない様だが……。
「あまり期待はしないでください、彼は同盟の最高評議会議長ですが同時にフェザーンの飼犬でもある」
飼犬? 金で買われたフェザーンの協力者という事か。トリューニヒト委員長の言葉に他の五人を見たが誰も驚いていない。“お恥ずかしい話です”とレベロ委員長が言った。
「宜しいのですかな、そのような人物が最高評議会議長で」
「良くは有りません、いずれ始末します」
「……なるほど、それでフェザーンに貴族連合軍を攻め込ませるのですな」
「まあ、そんなところです」
トリューニヒト委員長が微かに笑みを浮かべている。愛想の良い男だとは思っていたが直接会ってよく分かった。にこやかに笑みを浮かべながら怖い事を平然と言う、油断は出来ない。
「貴族連合軍はどの程度の兵力になるのですかな、十五万隻に近いと聞きましたが事実ですか?」
「事実です、レベロ委員長。ブラウンシュバイク公から連絡が有りました。十五万隻を超えるのは間違いないそうです」
私が答えると一人を除いて呆れた様な表情を見せた。
「卿は驚いていないようだな」
「まあ、そんなものでしょう。貴族の持つ総兵力はブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯も加われば二十万隻は超えます。宇宙艦隊がもうワンセット有る様なものですよ」
そういうとヴァレンシュタインはサンドイッチを口に運んだ。やれやれだ、全く可愛げがない。私も一口サンドイッチは食べた、コンビーフとマヨネーズか、これも悪くない。もう一口ワインを飲んだ。
「ところで、勝てるのですかな。その辺りが気になるのですが……」
私が問い掛けると皆がヴァレンシュタインに視線を向けた。
「勝てますよ、彼らをフェザーンに侵攻させてもらえれば十五万隻の帝国軍を殲滅する事は難しくありません。前回のイゼルローン要塞攻防戦を上回りますね、死傷者は一千万人を軽く超えるでしょう」
平静な口調で答えるとヴァレンシュタインがサンドイッチを口に運んだ。死傷者が一千万人、一瞬だが自分の言った事が分かっているのだろうかと思った……。
「しかし、フェザーンに貴族連合を攻め込ませるとなると帝国はフェザーンに恨
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