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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百話 異質
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“エーリッヒ・ヴァレンシュタインを形成する重要な要素は臆病である。彼の持つ苛烈さは自己防衛本能が強過ぎる事が引き起こしているものと思われる。彼と接触する者は彼への敵対行為は極めて危険である事を理解しなければならない”
臆病? 何の冗談だ、これは……。



帝国暦 486年 10月17日    ハイネセン    第一特設艦隊旗艦 ハトホル  ヨッフェン・フォン・レムシャイド



第一特設艦隊がハイネセンに到着すると夜になるまでハトホルに留め置かれた。そして夜になるとヴァレンシュタインと共に迎えに来た地上車で移動した。どうやらトリューニヒト国防委員長、シトレ元帥と会うらしい。少しずつだが車は静かな地域に向かっているようだ。ハイネセンの中心地からは離れているのだろう。会見は極秘という事らしい。

一時間程走っただろう、ある屋敷の前に止まった。決して大きくは無い、いや同盟では大きいのだろうか? 屋敷の門が開き地上車がそのまま中に入ると帝国とは様式の違う建物が見えた。どちらかと言えばフェザーンの家屋に似ているだろう。割と瀟洒な感じのする屋敷だ。

屋敷の周囲には警備の人間が居た。動きがきびきびしている、かなりの精鋭だろう、軍服は着ていないが軍人かもしれない。ヴァレンシュタインと共に車を降りて建物の中に入った。ヴァレンシュタインの動きには戸惑いが無い、何度か来た事が有るらしい。警備兵も何の動きも見せない、私は彼らにとって敵ではないようだ。

ヴァレンシュタインの後に続き屋敷に入る。廊下を歩くと正面にドアが有った。ドアを開けて中には居ると部屋には四人の男が居た。トリューニヒト国防委員長、シトレ元帥、他にスーツ姿の男性が二人。多分和平派の人間だろう。トリューニヒト国防委員長が愛想よく話しかけてきた。

「ようこそ、レムシャイド伯爵。亡命者以外でハイネセンを訪れた帝国貴族は閣下が始めてですな」
「光栄ですな、お招き有難うございます。トリューニヒト国防委員長」
「紹介しましょう、彼はジョアン・レベロ財政委員長、こちらはホアン・ルイ人的資源委員長です。彼はE式なのでホアンと呼んでください」

トリューニヒト国防委員長の紹介に二人の男が軽く会釈をしてきた。髪のふさふさとした髭の生えた人物がジョアン・レベロ、髪の毛の薄い人物がホアン・ルイ、分かり易い二人だ。こちらも軽く会釈した。
「立ち話もなんです、あちらに座りましょう」

トリューニヒト国防委員長が指し示した方向、部屋の中央にはテーブルが有った。テーブルにはサンドイッチ等の軽食とワイン、ジュース等が置いてある。私を取り囲むような形で席に着いた。私の左隣にシトレ元帥、右隣にヴァレンシュタイン、正面にトリューニヒト国防委員長、右斜めにレベロ委員長、左斜めにホアン委員長……。


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