狂った人形編
愛深き故に命奪う男は……
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もそう遠くはないだろう。
その時俺の両手は血でまみれていた
俺は殺し続けた。何人もの人間を殺した。そんな俺に疑問が湧いた。
……なぜ人を殺す必要がある? 彼女に会いたければ会いに行けばいいじゃないか。
改めて思った。俺は汚れすぎた。いつの日か殺すことに快感を覚えてしまっていた。
でもまだ心は汚れていなかった。
俺は自分の両手を見る。
片方が涙で濡れていて、もう片方が血でまみれているように見えた。
そうか……あの時の俺の感覚は間違っていなかったのか……
俺の心はまだ、腐り切っていなかったみたいだ。
俺はしっかり償えるのか、俺が奪った七百余りの命に、残り三百余りに入るかもしれなかった日本人約一億二千万人に、
ハハハ、
何やってたんだろうな、俺ってばよぉ……
その刹那、俺はなにかに飛ばされた。
そして壁に激突する。
「ウゴッ……」
前にあの少年が霞んで見えた。ありがとうよヒーロー。チャンスがあるならもう一度……
「せ……い……なぁ……」
俺は愛する女性の名前を口に出す。
少年は去っていった。
「まさか君が笑う以外の表情をするとはねぇ、」
後ろから声が聞こえる。
そいつの背中の羽にはとても見覚えがあった。
「ルシ……フェル……」
「そう、その顔だよ。怒りの表情、」
「何しに来た……?」
「君を自由の身にしようと思ってね」
「……ハァ?」
「体は組み立ててあげるよ。そこからは好きにするといい。」
「てめぇ、何故だ……」
「面白い展開になったからだよ。そこから君はどう生きるのか、気になってね。」
「もう踊らされんのはゴメンだぞ……」
「そこらは大丈夫、俺はあくまで君の友達だ。」
「……ふん、好きにしやがれ」
「じゃ、頑張れよ。」
もし俺にまだできることがあるなら、もし俺がまたやり直せるなら……もし俺がまた、あいつに会えるなら……
これからは過去の清算の為に生きる。それが俺のできることだから。
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