ジャンヌ・ダルク
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「エルザー!エルザー!」
ガッシャガッシャと足の鎖を鳴らし、剣を握り懲罰房へとジェラールが駆けて行く。
「!」
少し進んだ先の牢屋に、倒れる小さい緋色が見えた。
慌ててジェラールがエルザに駆け寄る。
「オ、オイ!しっかりしろ!」
倒れるエルザに慌てて近づき・・・ジェラールは言葉を失った。
「う・・・うわぁ!」
そこに倒れるエルザには、『あるべきもの』が無かったのだ。
思わずどたっと座り込む。
その目にうっすらと涙が浮かんだ。
「何で・・・何でこんなにヒドイ事を・・・」
震える声で、咆哮。
「俺達が何をしたというんだーーーーーーー!くそォォーーー!」
ガン、と。
悔しさをぶつける様に握り拳で地面を殴る。
「ジェラー・・・ル・・・なの・・・?」
「!エルザ・・・よかった!もう大丈夫だよ!助けに来たから」
「ど・・・どうやって・・・」
エルザの震える声に、ジェラールは力強い笑みを浮かべた。
「もう後には退けないよ」
既にジェラールは3人を倒している。
エルザの為に、エルザを助ける為に。
「戦うしかない」
戦う。
その言葉がエルザの頭の中で再生される。
「たたか・・・」
エルザが完全に言い切るより早く、ジェラールの声が響いた。
「いぎ!」
ガン、と。
後ろから思いっきり頭を殴られたのだ。
「このガキだ!」
「3人もやりやがった!」
「ちくしょォォ!ガキのくせに!」
「簡単には殺すな!」
「見せしめにするんだ!」
鈍い音が響き渡る。
ギィィ・・・と、牢の扉が開いた。
その労にいた全員の目が扉からフラフラと入ってくるエルザに向かう。
「エルザ!」
「姉さん!」
「オ、オイ・・・無事だったのか・・・」
「バカ!アレのどこが無事なんだよ」
「ジェラールはどうした?アイツ・・・奴等の目を盗んでエルザを助けに行くって・・・」
エルザは何も答えない。
体を震わせ、口を開かず、ただ沈黙する。
「エルザ・・・」
「そっとしておいておやりよ。かわいそうに。懲罰房でよほどヒドイ目にあったんだろうねぇ」
「けど・・・ジェラールが・・・」
シモンの言葉に、この牢の宥め役である老人『ロブ』はゆっくり首を横に振った。
「きっと身代わりに捕まってしまったんだろうね・・・」
シモンが言葉を失う。
それと同時に、ショウが涙を流し始めた。
「もうやだ・・・もう、こんなトコやだぁああっ!」
その大きな泣き声に気づいた大人達はすぐさまその牢へと駆けて行き、扉を開ける。
「何の騒ぎだーーー!」
「大人しくしねーかクソガキ!
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