第十七話 〜ひとときの休息 前編【暁 Ver】
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……ごめんやで。アスナちゃん、ボブ」
『勘違いをしないで欲しい。少なくとも君達の為ではないよ』
致命的だ。ここにきてボブ。そしてお兄さんのスタンスと、あたし達の立場の違いが浮き彫りになってしまった。お兄さんとボブは飽くまでアスナの為。あたし達は次元世界の治安維持と一般人の保護。ちょっと不味い傾向よね、これは。何故こんな事態になってしまったのか。それは今から数時間前のことだ。
風が薫る山道を抜けると、あたし達を出迎えたのは品のいいロッジが建ち並ぶキャンプ場と子供達の喧噪だった。休日と重なったこともあり親子連れが多い。キャンプ場自体を貸し切りにする案も出たが、八神部隊長が首を縦に振らなかった。確かにこんなくだらないことで管理局の権威を振りかざす必要もない。だが。思えば、これが──── あたし達が犯したミスの一つになる。
「アスナ、どこいくの?」
各々が自分の荷物をロッジへ運び込んでいたところにアスナの姿を見かけたので一応声を掛けてみる。……彼女の格好を見れば、一目瞭然ではあるけど。
「……むしとり」
着いた早々、虫取りか。今の彼女は黒のタンクトップに、ジーンズ生地のホットパンツ。実に彼女らしくいつも通りのラフな格好。……麦わら帽子に虫籠をたすき掛けしていなければ、だけど。ついでとばかりに虫取り網を片手に携え、おまけにエリオとキャロというオプションまで装備していた。
「……なにかリクエストは」
「気持ち悪くないヤツ」
「……しらん。いくぞ、うちの子になる予定のエリオとキャロ」
「あげないよ」
再び真顔になったフェイトさんのツッコミを華麗に無視したアスナは、エリオとキャロを伴いながら眼前に広がる緑の海へと飛び込んでいった。あたしとスバルは微苦笑を湛えながら三人を見送る。
「お子様は元気やな」
「でも……いい傾向だと思う。エリオとキャロも、少しだけど我が侭を言ってくれるようになった。アスナには感謝しなきゃ」
フェイトさんの表情は、言葉とは裏腹に暗い。
「またフェイトちゃんは余計な事考えとるんか。マイナス思考なんが悪い癖や。アスナちゃんだけやない。フェイトちゃんがおるからやで。そこを間違うたらあかん」
「そう、かな」
「そうや」
あたし達にはよくわからない会話だが、二人が納得しているならいいだろう。さて、あたし達は
「食糧確保だね。アスナが楽しみにしてるから」
スバルが釣り竿を手にしながらあたしに笑いかける。スバルから一竿受け取るが、生憎釣りなどしたことはない。太公望とはほど遠いが何とか頑張ってみましょうか。
桐生はバークリー本家にある中庭で抜けるような蒼天を仰いでいた。その表情は今の空模様
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