後輩と北欧の主神
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いないが、何処かしらに心に隙間がある様に思えた。
私が彼を、先輩を思い出せたのは本当に奇跡とも言えるだろう。
「…そう、正に奇跡とも言えるじゃろうな。主があの男の事を思い出せたのは」
「……そうなんですか?」
「普通はその世界に生きる人間は、世界の強制力というものに抗う事は出来ない。時に例外はいるが」
「私がその例外だったと?」
「……うむ、本当にそれがなせるのはその者と深い絆、魂で結ばれた者だけじゃ。だから私は主に興味を持ったのじゃよ、昨今それほどまでに深い繋がりを持つ人間を私は殆ど見る事がなかったからのぅ」
そう、オーディンは告げる。私と先輩は繋がっていると。
確かにそうかも知れない、私という人間の大部分は先輩が占領している。
そして先輩も少なからず、私の事を想ってくれていたという事だ。
私は先程の、オーディンの発言を思い出す。
「オーディン。貴方は先程言いましたよね?私に出来うる事ならば、叶えると」
「うむ、確かにそう申したよ。願いと言っても、主の願いは既に決まっていると思うが」
彼が言った様に、既に私の願いは決まっている。
その一つ以外に他ならない。そうでなければ、自らの生命を絶つ様な酔狂な真似はしない。
―――もう一度、先輩と巡り会いたい。
「私は今一度、先輩に会いたい」
力強く、意思と信念を込めて、私は自身の望みを口に出して宣言した。
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