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ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第56話 10年前
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だろう。
「……おおお。それは良かった。はい……。ええ」
そして……その後5分程たって。
「ありがとうございます……。例の口座によろしくお願いします。……では、後ほど」
それを最後に電話を切った。
「くくく………。とんでもないモノになったものだ。」
ニヤリとしながら椅子に腰をかける。そしてタバコを取り出し咥え、火を着ける。
「だがしかし……これ程大きな商談になるとはな……。まぁ 研究の内容を考えたら……当然だが」
笑みが、全く崩れない。どうやら、顔が破顔する程の商談だったのだろうか。その後も……彼の表情は歪みっぱなしだった。邪悪な所長のその素顔。その本性は施設の誰も知らない。
その本性がわかった時、悪夢と言う名の仕事の始まりでもあった。
〜更に数日後〜
能力開発研究所にて。
「ん………」
リュウキは、今日もいつも通りコンピュータの前に座って作業を続ける。いつもと何ら変わらない一日だった。
「……あれ??」
ディスプレイの端にアイコンが現れた。誰からか、メッセージが届いたのだ。
差出人には、≪Sunny≫とあった。
聞いた事の無いHNだった。
「……S、u、n、n、y。さにー、サニーだよね? それとも太陽? えっと……誰だろう?」
メッセージが来るとすれば、それは能力開発の一環で行っている仕事。企業への連絡確認のみである。だから、大抵は会社の名前が差出人で、そもそも、自分にメッセージを送ってくるものでHNを使った相手は殆どいないんだけれど。
何より、差出人がHNなのも初めての事だった。ネットゲームならまだしも。
『――……始めまして RYUKIさん。私はSunnyです。この度、貴方とお仕事を共にすることになりました』
とメッセージにあったのだ。そこから下の文は今回の仕事の内容について書かれていた。
「……あれ? ええっ! あの話本当だったんだ!?」
リ ュウキは所長に今朝方言われたことを思い出した。
『――……今回の仕事はかなりの大仕事だ。終える……だけならば、君だけでも良いのだが、時間的に不可能と言う結果が出たのでな。だから、君と同等の技術者との共同作業になりそうだ。本人にその旨は伝えてあるからいずれ連絡が来ると思う。頑張ってくれたまえ』
との言葉だ。これまでは、仕事は自分ひとりで行っていたし、その量も十分一人で問題なかった。問題ある分は、育ち盛りな年頃だから、身体のケアである。
その点は綺堂……爺やが施してくれる。
だから、問題なくこなしてきたんだけれど。
「うん……でも、これって面白そうかもっ……! 誰かと、なんて こんなの初めてだよ」
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