第10話:オリエンテーションキャンプ(3)
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の部屋へと戻っていった。俺はその後姿が小さくなっていくのをずっと見ていた。何か後ろを追って傍に行きたくなる、そんな背中を俺は呆然とその場で見ていた。
それからのオリエンテーションキャンプは平々凡々な内容で消化され(夕月や飛羽のせいで大体は俺は毎日が阿鼻叫喚であったが)、特に変わったこともなかった。知子も足の様子が次第に良くなり、いつもの調子でちょっかいやらおせっかいを掛けてくるようになったし、響もお母さん見たく俺達の様子を笑いながら見守っていた。
しかし、何かが変わったのではないか、と俺は帰りのバスで相変わらずの吐き気と戦いながら思った。知子は少し「いじらしさ」というものをこのオリエンテーションの前後で感じるようになった。響も、笑顔で俺達を見るが少し寂しそうな顔が見えるような気がした。これは、彼女達の思春期に特有である精神的な変化を表したものなのか?それとも、俺の心のありようが変わってしまったのか?…
学校に戻ったら日常に戻る。戻ったら何か分かるかもしれないな。そして、帰ったらまた豪快な笑い声と共に、主将のメニューが待っているんだろうな。明日が楽しみだ。
俺はビニール袋を眺め、夕月と飛羽の背中からの攻撃に耐えながら俺は日常に戻る楽しみを思い浮かべていた。
ちなみに中間のサービスエリア手前で、俺は胃の中の物を戻しました。
うん、次からは俺を一番前の席にしてくれ。
(次回へ続く)
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