第10話:オリエンテーションキャンプ(3)
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するが実はあまり覚えていない。
『キャーッ!覗きよーッ!!』
俺が目を醒ましたのは複数の女の子の叫び声だった。俺は横になっていた身体を起こして声が聞こえた方を向いた。
(覗き?あいつら本当に覗きプロジェクトを決行して、結局見つかったのか?身体を起こして様子を見に行…身体を起こす?…つまり横になっていた?まてまて、状況を把握しよう。俺の身体下半分は未だにベンチの上にある。後ろを向けば驚いた響の顔、俺の身体が起きた事にびっくりしたようである。そして俺の頭が置いてあったところを俺の座高から計算すればちょうど響の太股の位置。…そして目を醒ました時には確か黄色が視界全体に広がっていた、つまり俺は響の身体側に身体を向けていたってことか?)
じっと、響を見る。俺と目が合うと、いつも冷静なあいつの顔が茹蛸みたく赤くなっていき、目線をそらす。俺達の間には、何か胸の中がもどかしいような、くすぐったいような、何か口を開けないような雰囲気が満ちていた。
(つ…つまり、俺は響に膝枕をしてもらって、それだけではなく、顔を身体側に向けてしまっていた…ってことだよな。まずいな、何を話せばいいんだよ。状況を判断すると、つい寝てしまって、響さんのその二つのフトモモに頭を乗せてしまって、さらにはその美しい身体の方をずっと向いていました、と。最後の部分は何をどう言い訳すればいいのかな、そうこの行為はチョウチョが美しい花のm…、やめよう。こいつに変態扱いされるのは俺は嫌だ。)
俺の思考が停止しかけたり稼動しかけたりしている中、聞こえてくるのは、覗き犯を捕まえようとする女子生徒の動きと逃げようとする男子生徒の動きを表現する音のみであった。
廊下では男子浴場から逃げ出そうとする生徒達を見回り中の先生が押さえにかかっているようだ。バタバタ聞こえる複数の足音、女子生徒の男子生徒たちに対する怒号や侮蔑の声、逃げようとしているであろう男子達の悲鳴、先生達の叱責が聞こえる。
「…とりあえず、先生に状況を聞いてから、それからお互い部屋に帰りましょう。」
「へっ、あ…ああ…」
響の提案にボケ―ッとしていた俺は生返事を返した。それから俺達は、先生に何があったかを聞きに行って状況を理解した。俺の部屋の奴も混じっていたから、俺が巻き込まれないようにアリバイ工作をする意味合いもあったんだろうな。本当に賢い奴だよ、お前は。
「拓君、さっきの話なんだけど…何か聞いてた?」
「話?どの時点の話だ?」
「そう…うん、ならいいわ。おやすみなさい。明日も頑張りましょう、拓君」
響はそう言うと、自分
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