第10話:オリエンテーションキャンプ(3)
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す。やけに近い気がするが、それは俺の気のせいだろう。
このソファーでは、まばらに浴場から出てくる女子生徒や男子生徒にじろじろ見られるため、俺は響をこの場から少しはなれたベンチに腰掛けないかと誘い、響を連れて移動を始めた。
近場の自動販売機をこっそり使って飲み物を2本買い、そのうち1本を響に渡す。響は最初、規則で決められているからと言って受け取らなかったが、俺が買って渡したんだから俺のせいにすればいいさ、と響に蓋の開いた飲み物を少し強引に渡す。バスに酔っていた時に助けてくれたそのお礼さ。
小学校から名を馳せている規則破りの常習犯としての俺は未だに健在だからな。
「く〜っ、冷たくて美味いな〜!」
「本当ね。拓君、ありがとう。」
冷えたコーヒー牛乳やフルーツ牛乳が本当は欲しいところだが、自販機に入れられないからな。これで我慢してくれよ。
冷たい飲み物を飲んでほっとしたせいか、風呂でのぼせかけた疲れと眠気が急激に襲ってきた。そんな頭の状況の中で、響のクラスの女子が入浴時間って事は、知子も入っていたのではないのかという疑問がぼ〜っと浮かぶ。
「そういえば知子は?一緒だったんじゃないのか?」
「もう部屋に戻って寝てると思うわよ。やっぱり足に無理をさせるわけにはいかないそうから」
「そうか。あいつに無理はさせて痛い顔をさせるのは嫌だからそいつは何よりだな」
疑問がなくなったところで、俺の思考も限界が来た。
ん〜、と俺は伸びをして大きくあくびをする。そんな様子を見ながら、響はクスクス笑っている。これは、眠いと思っている時の俺の癖らしい。こいつ、俺をどんだけ観察しているんだよ、暇だったのか?しかし、眠たいな。むう、明日も早い…し、部屋に戻ら…ないと…
「拓君、もう寝た方がいいんじゃないかしら?」
「…ん」
眠いのは…確かにそうなんだが、もう少し…まったり…してからそうする〜…
「ねぇ…拓君は……」
ん……
「知子の…こと…やっぱり…き…なの?」
なんか……行ったか?知子…がなんだって…?
「……かもしれないけど、…私は…拓君のこと…男性として……」
…ん?……
「好……」
………
この時、俺は眠っていたのか分からない。身体が仰向けになって、頭に柔らかい何か当たっている気がする。そしてぼそっと何かを聞いた気がする。
『拓君といつまで、こういうことができるのかしら。ねぇ、拓君?』
『ごめんなさい、知子。でも、今日くらい多めに見てくれないかしら』
髪が撫でられていたような気が
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