第10話:オリエンテーションキャンプ(3)
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時代の合宿でも洗濯・掃除はしっかり出来るから、料理をしっかり出来れば結婚生活をその手の理由で壊すことはなさそうだ。
視線を知子の右隣に移す。響は黙々とニンジンの皮むきをこなす。早く慌てず、そして正確にニンジンの皮があっという間に剥かれていく。「ニンジンの」という言葉が無かったら少し卑猥な文章になってしまうため、深く考えないように。それにしても何という手際の良さだ。響って確か料理がうまいって設定だった気がするな。原作だったか覚えていないが、逢に対して「塚原の味じゃないと」と夕月・飛羽が言っていたような気がするし。ここで既にその能力が発揮されていたんだな、そういえば小学校の調理実習でもかなり手際が良かったしなぁ。あいつも将来、器量の良い嫁さんになるぞ。
俺は米と水を入れて火にかけた飯盒の様子を見に行く。勿論、米は必要以上に丹念に洗ったぞ。この時期の精米技術がどのくらいかは知らないが前世の水準よりは低いはずだ。本当は炭を入れると美味しいんだけどなぁ…。
かまどの近くまで足を運ぶと、中島君が消えた火をもう一度着けようとしていた。直接木の小枝にマッチや発火道具を使うが、どうにもうまくいかないらしい。こういうときは、枯れた葉やら紙やらを使えば火種になって、その後に小枝を少しずつ入れればいいんだっけ。そういうわけでそこらに落ちている湿気ていない葉っぱや紙をかまどに入れて火を起こした。着けた種火が風で消えてしまうか、その前に小枝に火がつくか、この一瞬を待っている時にドキドキするのは俺だけか?
枝に火がついて俺達はほっとする。これであとは火の管理をすれば大丈夫だ、と俺は中島君にいい、彼には調理場に戻ってもらうことにした。飛羽や夕月が魔女の何かを作らないかを監視してもらうためだ。
「火守をしているの?」
後ろを振り向くと知子が立っていた。足元はまだまだ恐る恐るという感じで俺の方に寄って来る。
「ああ。足は大丈夫なのか?」
「平気、走ったり急いだりは出来ないけどね」
足を擦りながら、あはは、と笑う。うん、いつもの知子だ。
「あれ?お前、さっきまで野菜と格闘していなかったっけ?」
「…火の守から戻ってきた男子から、『頼むから俺達の栄養を捨てないでくれ!』と懇願されてこっちになったのよ!全く失礼しちゃうわね!」
頬をリスのように膨らませる。いやぁ知子には悪いが、その男子の言い分も分かるぞ。
「それで、お前はその足で火の守が出来るってのか?しゃがんだりするんだぞ?」
「で、できるもん!」
ムキになってるな。おまけに口調が子どもっぽくなってキミキスの菜々みたくなってるぞ。ここは俺が何とかして助けてやらにゃあな。
「ほれ、お前のところの火が消えかけているぞ。ほ
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