第9話:オリエンテーションキャンプ(2)
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俺は思い強行策を取る事にした。
強引に知子の腕を俺の首に回させ、しゃがんで下げた腰を立って持ち上げて知子の身体を持ち上げた。身体を持ち上げた時に、小さく「きゃっ」という声が聞こえる。
軽い、と思った。小学生の時も背負ったことがあるが、その時はもう少し重かった気がするが…、単純に俺の背がでかくなったのか。子どもの身体って成長早いな、と感心してしまう。
「夕月、飛羽、中島君、すまんが先生のところまで知子を運ぶから先にいってくれ」
「ああ、分かったよ。あとは任せな」
「任されよ」
「あ…ああ」
後ろを振り向いて、響きと目が合う。響は目が合うと、そのまま頷いた。行ってらっしゃい、と言っているようだった。そのまま、知子を背負ってスタート地点へ戻ることにした。
所々で歓声やら笑い道が聞こえる。チェックポイントを見つけたのだろうか、それとも話が弾んでいるのか。
「前を見ないで転ぶなんて、お前らしいよ」
「…うるさいわよ」
女の子を背中に背負うなんてうらやましいシチュエーションではあっても、知子と俺の身体はそんなに接していなかった。俺と一緒にこんな風にしているところを他の奴に見られるのが恥ずかしいのだろうか。思春期で難しい年頃だしな。
「…そういえば、前にもこんな風に負ぶってもらったことがあったわね」
「ああ、お前が山の奥に入っていって迷子になった時だろ?」
そう、あの時もこんな風に俺が知子を背負って帰った。帰る道が分からず泣いていた知子を俺が見つけたんだっけな。確か、スクールに入って一年目、小学三年の頃だった。俺があいつと同じ級に上がった時で色々話しかけてきた頃だった。入ってすぐバタフライまでマスターした俺をライバル視して何かと話しかけてきてたっけ。その分話す機会があったから次第に仲良くなったんだっけ。
ある日、スクールが終わった後に近くの山に行ってみようという知子の提案で俺と響を連れて山に入ったんだよな。知子が無計画に山の中に入って、そのうち姿が何処にも見えなくなって。そういや、探し出した直後の俺を見た知子ときたら、ワンワン泣いて抱きついてきたな。俺よりも当時背が高く、俺もまだまだ非力だったから背負うのが大変だったな。今思い出しても、純粋に懐かしく心温まる出来事だったな。
「お前は普段しっかりものなのに、何かにムキになってこういう風にドジったりするところは変わらないよな」
「たっくんも女の子を見る目が、い・や・ら・し・いのは昔からずうっと変わってないわよ!」
右頬を思いっきり抓られ、引っ張られる。ほっぺ、すごく…痛いです……。
俺ってそんなに女の人に対してイヤらしかったか?確かにエロイことには興味心身だけど、そんなに今
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