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アマガミという現実を楽しもう!
第9話:オリエンテーションキャンプ(2)
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「いや、これはだな」
「お、川田か。悪いけどダンナを少し借りてるわ。」


 背中の方を向くと、夕月がにかっと笑って手をひらひらさせていた。完全に知子をからかうポイントを抑えてきてやがる。


「だ、だから、た、たっくんはあたしのダンナじゃないってば!」
「じゃあ塚原か?すまないね、ダンナ借りててさ。」
「あら、貸した覚えはないわ。ま、貸すのは良いけど、きちんと返すのよ」


 知子は慌てて、響は微笑を保ったまま、夕月に答える。俺の意思を全く無視した上での賃借の契約がいつの間にか成立していた。俺という物権を対象として、な。俺の上での夕月と響がやりとりをしている間、知子は俺をじっとみていた。


(くりっとした可愛い目してんな〜…じゃなくて、何でこいつ俺を見ているんだ?おいおい、この辺根っことか危ないんだから足元気をつけないと)

知子は、何か考え事をしていて足元に気が回っていないようだ。何度か、足を根っこに引っ掛けて転びそうになっている。


「おい知子、この辺危ないから足元を見ろ」
「たっくんに言われなくても分かって……きゃあ!」


 俺の方に顔だけ向けたとき、地面から露出していた木の根っこに右足のつま先を引っ掛けた。知子はバランスを崩して転び、右ヒザを強く打つ。


「あたたたた……」
「まったく…、すまん夕月、悪いが降りてくれないか?」


 俺は背中に乗っていた夕月を下ろし、転んだ知子の傍に歩いていく。夕月・飛羽ペアも俺の後ろに着いて来る。中島君も他の男子二人も駆け寄ってくる。


「知子、大丈夫?」
「これくらい、平気よ」


 知子の傍に近づいてくる響を安心させようとヒザを上げて立とうとするが、右足が踏ん張ることが出来ないようである。へんな転び方をして転んだ時に足を捻ってしまったようだ。


「全く、しっかり前を向いていないから」
「むう…」


知子は横目で俺を見て、再び地面に視線を落とす。


(このままじゃあ、知子が動けないし…仕方ないな、俺が運ぶか)


「ほれ」

 俺はかがんで腰を下ろし、背中を知子に向ける。


「へ?な、何?」
「何って、おんぶして先生のところまで運ぶから早く乗れよ」
「お、おんぶって…もう小学生じゃないんだし恥ずかしいわよ!」
「何言ってるんだよ、それじゃあ運べないじゃないか。」


 はぁ、と俺は溜息を一回つく。


「じゃあ大人らしくお姫様抱っこの方が良いのか」
「お姫様……、ッ何言ってるのよ!」


 知子は、顔を真っ赤にして首を振る。周りを見ると、夕月や飛羽、中島君含む男子生徒が俺と知子を面白そうに見ている。彼らの周囲の視線が気になるようだ。これじゃ埒が明かないな、と
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