第8話:オリエンテーションキャンプ(1)
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ージを着ていた。寝ぼけ眼で二人の問いに対して縦に首を倒す。
「まだ寝足りないの?髪もボサボサだし、目元もシャキっとしてないし〜、まったくもう」
「顔だけでも洗いに行きましょう」
そのまま、知子に右の腕を絡められて施設内にある水飲み場まで連行される。更に女性らしくなった身体と柔らかさに気がつくものの反応するほど意識が覚醒した訳ではなかった。響も所々で躓いて扱けそうになる俺を支えるように俺の腰に左手を回し連行する。水飲み場に着き、俺は蛇口から出てくる水を手の中に集め顔に浴びせた。冷たいが気持ちいい、眠気が飛んでいくのがわかるわ。俺は蛇口のバルブを閉めて周りを見渡すと、響がハンカチを差し出した。俺はありがとうと礼をいい、顔についた水気をハンカチで拭き取る。顔を吹いた後、洗って返すよと言ったものの別に気にしてないわ、と返されハンカチをそのまま返した。響は俺が返したハンカチを一瞬じっと見ていたような気がした。俺の顔…水性ペンかまさか垢とかで汚れていたのかな…。知子の方を見ると、ジャージの右のポケットに手を入れて止まっていた状態だったが、俺の視線に気がつくと頬を赤くして慌ててポケットから手を出した。
知子や響と分かれた後、意を決して俺は食堂に入り、自分の担任の姿を見つけて「寝ていて遅れました、すみません」と謝罪の言葉を伝えた。担任も少しだけ説教をしたが俺の乗り物酔いのことをクラスの誰かから聞かされていたため、追及や叱責はすることなく無理をするな、とだけ言ってあっさり解放された。誰か知らんがクラスメイトよ、ありがとう、と心に想いクラスメイトの方を見回す。数人、親指を立てて合図をする。同じ部屋に割り当てられた奴らだ。すまん、ありがとう。しかし水性ペンでの落書きは別だ。いつか返り討ちにしてやる。
俺は空いている席に座って、自分の食事を取り始めた。周囲の奴らと世間話やら次の行事はおもしろいのか、女子の部屋に侵入するか否かという話題でそれなりに盛り上がった。食事の後は近くの山に入ってハイキングコースでポイント集めをしようということだ。俺は夕月・飛羽のペアにまた振り回されるのかという考えを振り払うべく、茶碗に盛られた白米を一気にかっ込んだ。
(次回へ続く)
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