第7話:女難な新生活
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て二人の汗が凄いことを知る、どうやら俺が連れて行かれたってことで必死に探し回ったらしい。
知子は俺達に向かって走り出し、俺から二人を引き離して自分の下に引き寄せる。まるで、幼児が買ってきてもらった大型のクマのぬいぐるみを取られまい、としてずっと抱きしめている感じだった。俺はお前の物じゃないぞ知子、と言いたくなったが、状況が状況だけに口を塞ぐことにした。後ろを見ると、響もゆっくりと俺に近づいてくるのが見えた。ただし、いつもの微笑は無く、少し怒っているみたいだった。その怒りの対象物が俺なのか、はたまたこのペアなのかは分からないが。そう考えているうちに、知子が口を開く。
「たっくんは渡さないわよ!」
「…なるほどね。んふふ、なんだい遠野、アンタ彼女がいたのかい。いつも教室でボケーッとしてる割になかなかやるじゃないか」
「リア充おつー」
夕月、飛羽の好奇の視線が俺に注がれる。それと飛羽よ、さっきから何処でその言葉を拾ってくるんだ?お前の頭にはどこぞの世界の自分とインターネットで繋がっているのか?確かキミキスにもこいつら出てたし、・・・俺と同じ転生者?いやぁ、それにしては振舞い方が年相応だし、勉学で抜きん出たことをしているのを見たことないし。
考える俺を他所に、ポフっと直ぐ横で音が聞こえたような気がする。知子から聞こえてきたような・・・、心なしか湯気が頭から見える。
「あ、あたしはたっくんのか、か、かの、彼女なんかじゃ……」
「へえ、そうかい。じゃあ、後ろのあのクールビューティがあんたの彼女ってことか。うらやましい限りですなぁ」
「両手に花。爆発しろ」
知子の身体がピクッと少し動いた。そして知子の俺を抱きしめる力がより一層強くなったような気がした。小学生の時よりも女らしさを備えた身体が、俺の思考を変な方向に向かわせる。知子もそういえば女の子になっていってるんだよなぁ、何か月日というものを感じるよ、と。いかんいかん、そうじゃないそうじゃない。俺は落ち着きを払うために後ろにいた響を見た。響は先ほどの少し怒った顔ではなく、少し呆けていた。そして俺の視線に気がついて、いつもの顔に(少なくとも俺にはそう見えた)
「残念だけど、私も拓君と付き合っている訳じゃないわ」
「ふ〜ん、『残念』……ね?ま、結論として遠野がますます面白い奴だと分かったよ。という訳で、この入部届けは提出しておくからな」
「三年間お付き合いよろしく」
夕月は俺に書かせた(どうやらあの時最後まで書いてしまったようだ)入部届けをヒラヒラさせてその場を離れ、飛羽も右手の親指をグッと立ててその場を離れた。目的を達成した今、邪魔が入らないうちに入部を確定的にせんと思ったのだろう。凄い行動力である、あれで一月前まで小学生だったのだから末恐
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