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空を駆ける姫御子
第十六話 〜彼女たちのお話 -ティーダ・ランスターの章-【暁 Ver】
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ガさんの母親であるクイントさんも眠っている。意外と近い場所にあることを知った時は、御互いに驚いたものだ。

「あ、そっか。今日って」

 スバルはこんなとき妙に勘が鋭い。そこであたしはふと思い立った。特に理由は無い。単なる思いつきだ。

「二人も一緒に行かない? アスナを兄さんに紹介したいし。……良かったらだけど」

 二人は最初こそ目を丸くしていたが、途端にあたふたし始める。

「ちょ、ちょっと待っててっ、すぐ着替えてくる!」

「……おめかししてきます」

 全力で走り去るスバルと、小走りで寮内へ消えていくアスナ。あたしは無駄だと思いつつも、二人の背中へ普通の格好で良いと声を掛ける。兄さんは辛気くさいのは嫌いだったから。今日は陽射しが強い。あたしは手のひらを日傘代わりにして抜けるような青空を見上げる。兄さんは今でもどこかで見てくれているのだろうか。安らかに眠っていて欲しいとは思うけれど、もしそうならいい加減に妹離れした方が良いと思う。そんなに心配しなくても────


──── あたしは今、幸せだと胸を張って言えるのだから。






 〜彼女たちのお話 -ティーダ・ランスターの章- 了


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