第十六話 〜彼女たちのお話 -ティーダ・ランスターの章-【暁 Ver】
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上司はなおも淡々と答える──── 機械のように。
「……今から三年、いや二年前か。己の力量を顧みず体に無理をかけた挙げ句に、撃墜された馬鹿な魔導師がいてな。普通は放っておくんだが、その件も上からの命令で俺たちが内々で処理した。有耶無耶にしてな。その魔導師は当時おまえと同じ未成年。下手をすれば管理局の責任問題に発展する恐れがある。何より──── その魔導師は管理局にとって、利になる存在だった」
「……じゃあ、俺たちのやっている事って何なんだ」
そこで初めて──── 上司は笑った。
「アピールさ。ちょろちょろと管理局にとってたいした痛手にもならないものを摘発して発表する。するとどうだ。『管理局は不正を正す為に、こんなに頑張ってますよ』っていう世間へのアピール。管理局と言えども世論は無視出来んからな。そうじゃなかったら俺たちみたいなのを管理局が、いや『最高評議会』が放っておくわけがないだろう? 自分の首を自分で絞める馬鹿はいない」
少年は──── もう何も言わなかった。
「大人になれよ──── タカムラ。他人の手のひらで踊らされているのを理解した上で、笑いながら踊ってやるのが、大人ってもんだぞ」
上司は人形のような笑顔を少年へと向けた。この日……エイジ・タカムラは人と組織に──── 絶望した。
ポートフォール・メモリアルガーデンはミッドチルダ西部に位置していた。陽光が降り注ぎ、爽やかな風が吹くその場所は、死者の安息の地としては相応しい場所であった。その一角にある真新しい墓標の前に一人の男が枯れ木のように立っている。
「ティーダ。私が無様にも惰眠を貪っていた間に何があったのだ」
墓標は答えない──── 答えるわけがない。
「突然辞令が下りた。訓練校の教官だそうだ。しかも『陸士』だ。……どんな嫌がらせだ。貴様の妹にも会おうとしたのだが……やめておいた方がいいだろうな」
──── 恐らくは警告なのだろう。
「人や組織など所詮は」
──── 抗わなきゃ、ヨハン?
ヨハンは自分を嗤い、ティーダを笑った。
「その通りだな。私とした事が危うく老人になってしまう所だった。感謝するぞ、ティーダ。私は私のやり方で抗い続けよう。……では、な」
男は絶望すること無く。希望を乗せた後進を育てることで、抗い続けることを親友の墓前に誓った。男の決意を祝福するかのように──── 優しい風が吹いた。
───── 新暦七十五年 七月七日
「あれ? ティア、お出かけ?」
あたしが兄さんの墓参りに行こうと寮の玄関を潜ると、スバルとアスナに出くわした。因みに兄さんが眠っているポートフォール・メモリアルガーデンにはあたしの両親と、スバルとギン
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