外れた世界へ
二章 「旅立ち」
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が、宝石は使い切る様にな、と言うが聞こえているかは正直疑問だ。
そう言えば話の途中だったな、と俺に向き直すゼルレッチ。
「理由は先ほど言ったとおりだ、この状況を利用しない手は無い――とな」
利用という事は、公式では衛宮士郎は死んだ事になるのだろう。
死んだ人間ほど扱いやすい物はないからな。
まぁ、放っておいても死ぬ筈だったんだから廃材利用の様な物だろう。
だからこそ、ゼルレッチに先に言っておく。
「言っておくが、俺は汚れ仕事をするつもりは無いからな」
そんな事をするくらいなら、名実共に死んだ方がマシだろう。
多数の為に少数を切り捨てる、なんて選択は極力したくないんだ。
自ら望んでその手の人種にはなりたくない。
すると、ゼルレッチは、何を言っている、と笑いだした。
「そんな事をさせても面白く無い上、意味がなかろう。それにお前は察しの通り、この世界では死んだ事になる」
「それじゃ、俺に何をしろって言うんだ?」
死人扱いされ、汚れ仕事もしないんなら、俺をなんの為に助けたのか分からない。
学者肌じゃないし、専らの武闘派の俺は平時にはなんの役にも立たないからな。
「お前には別の世界に行ってもらう、その力を必要とするものは大勢いるからな」
―――はい?
今なんて言ったんだ、この魔法使い。
「何だかよく分からない単語が聞こえた気がする……。悪いゼルレッチ、もう一回言ってくれ」
「お前には別の世界に行ってもらう」
何度も言わせるな、とゼルレッチ。
いやいやいやいや、おかしいだろ!?
なに簡単に、とんでもない事を言ってんだ!
別の世界ってアレだろ?
俺達に馴染み深い言葉だと、並行世界って奴。
そんな簡単に………って、そうだ忘れてた。
この魔法使いのお方は、第二魔法の使い手じゃないか。
「なんで俺が?」
内心とは裏腹、思ったよりも冷静に対応を取る。
「今時、珍しく本物の正義の味方を目指しているらしいじゃないか。そんなお前がここで死ぬのは残念なのでな? この世界に居れないのなら別の世界があるじゃないか、という簡単な方法を取る事にした」
それにどうせ死んでこの世界から居なくなるのなら、別の世界への片道切符を渡しても変わらないだろう、そうゼルレッチは付け加えた。
「それで良いのかって思うんだけどな………。それとだ、正義の味方に偽物も本物もない」
「それは失礼したな。それでどうする衛宮士郎。大人しく並行世界に行くか、ここで私に引導を渡されるか」
殆ど脅迫だよなこれ。
俺なんかがまともに戦える相手じゃないって分かってるくせに。
「お前にも悪い話ではないと思うがな。それにだ、今まさにその力を必要としている者が居るかもしれんぞ?」
「この世界にだって居るじゃないか。俺にも救える人々が」
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