第一章 土くれのフーケ
エピローグ 二人っきりの舞踏会
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が。あの場所で“土くれのフーケ”は、俺が使った“破壊の杖”で死んだことになった。学院長の秘書であるロングビルは、その際の影響で気絶したことになっている」
「えっ」
ロングビルが驚きの声を発するも、士郎はそれに反応せずに続ける。
「だから、お前は今まで通りにオスマン氏の秘書を続けてくれ」
「―――っ、……それでいいのかいあんたは? あたしがここから逃げないと言う保証なんてないだろ」
ロングビルのその言葉に、士郎はフッ、と鼻で笑うと、ロングビルの頭を再度かき混ぜるように撫で笑いかける。
「そんなことがないよう、俺がずっと見ておくから心配するな」
「なっ、ちょ、そ、それって、ま、まさか。こっ、告は―――」
ロングビルが何かを期待するように、顔を真っ赤にしながら詰め寄って確かめようとした瞬間、それを遮るかのように保健室のドアが開いた。
「ミス・ロングビルは目覚めたかの? ミスタ・シロウ?」
入ってきたのは、オスマン氏であった。
オスマン氏はベッドの上で身を起こしたロングビルに気付くと、そちらに歩みよってきた。
「おお、目を覚ましたのかね、ミス・ロングビル」
ロングビルに近づいていったオスマン氏は、凄い目で睨み付けてくるロングビルを見て、ピタリと足を止めた。
「あ〜ミス・ロングビル、わし、なんかした?」
「……いや、別になんにも」
不貞腐れたように顔を背ける様子に訝しく思いながらも、オスマン氏はロングビルに話しかけた。
「ふむ、まあいいじゃろ。ある程度事情はミスタ・シロウから聞いておるじゃろ。ま、そう言うことじゃから、君は今後ともわしの秘書じゃからな」
「……オールド・オスマン」
ハッと顔を上げ潤んだ声を漏らすロングビルに、オスマン氏は笑いながら言った。
「ひょひょっ、礼なら後でおっぱいでも揉ませてもらおうかのう」
「はぁっ?」
先程までのしおらしげな様子は何処へやら? 一気にがらが悪くなるロングビル。オスマン氏は変わらず笑いながらロングビルに話しかける。
「ホッホッ。その調子なら大丈夫じゃな。今夜はフリッグの舞踏会じゃ。気にするものはおらんじゃろうし、今日のところはゆっくりと休んでおきなさい」
「フリッグの舞踏会?」
ロングビルが疑問の声を上げると、オスマン氏は頷く。
「そうじゃ、ほら、窓から微かに音楽が聞こえるじゃろう」
その言葉を聞き、ロングビルが耳をそばだてると、開いた窓から微かに音楽が流れてくるのが聞こえてくる。
その様子を見たオスマン氏が、何かを思い出したかの様に手を叩き、士郎に話しかけた。
「おお、そうじゃったそうじゃった。ミスタ・シロウ。ミス・ヴァリエールたちが探しておったぞ、そろそろ行か
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