そして時を刻む夜は舞い降りた。
眠る子と語らう大人
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張られる為。
その為に赤ん坊の意思の方が強い。
「お腹が空きましたか?……ちょっと待ってて下さいね、今お乳をあげますから」
そう言い、お母さんは着ている袴に手を掛けて胸元を露にしようとする。
1
けふっ…と、自然とゲップが出る。
お腹は一杯になったが、未だにアレには慣れない。
身体は幼いが、精神年齢が二十歳な為に、色々と感じるモノがあるのだ。
まだ離乳食が食べれる時期でもないし、歯も生えて来てない為に固形食を食す事も出来ない。
その為、羞恥プレイだが耐える事しか出来ない。かといって、食事をしなければ生きる事は出来ない。
嘗ては人ならば一度は通った道、そう割り切るしかないのだ。
食事をしたら、段々と眠気が俺を襲ってきた。
俺の赤ん坊としての意識が眠ろうとしている。それに対し、前世の記憶を持つ俺も引き摺られる様に、眠くなってくる。
「寝てもいいんですよ、時夜?」
うつらうつら…としているとお母さんがそう語り掛けて、子守り歌を歌い始めた。
それに誘導される様に、俺はその自らの意識を手放した。
0
夢を、夢を見ている。
それはここ最近ずっと見続けている夢。
誰かが、何かが語り掛けてくる様な、そんな夢を。
2
寝る子は育つというけれど、俺もただ赤ん坊として日々を過ごしている訳ではない。
最近は心身共に慣れてきたのか。赤子の意識と身体が眠っても、俺の意識だけが覚醒しているという事がある。
何となくだが、身体から精神が剥離していく様な感覚だ。
ここ数日は神様、ユーミルから授かった神器“心剣創造”の能力を心中で使用するイメージを描き、
剣を精錬する流れを作っている。
そして、最近だが一本の刀剣を心の中で具現出来る様になった。
流石に、赤ん坊が刀剣を取り出すという芸当は他の人間には見せられない。
俺の作り出す事の出来る唯一の刀剣。人の持つ感情の一つである喜。
それを象徴するかの様な一振りの長刀。それを得たのはあの日、この世界に生を受けた時の事だった。
心の内から溢れ出る程の新たな生への歓喜。その歓喜に、身が震え、魂が震えた。
心剣創造で創り出した感情武装は、自身のその時の感情の力に左右される。
心の力が強ければ強い程、強度と力は増し、逆に弱ければ強度と力は弱くなる。
そして、この神器には欠点がある。
自身の心剣が砕かれ、破壊されるという事は、自身の感情が破砕されるという事である。
その場合。傷付いた感情を癒して復元するまでの間、その感情は心の中より失われる。
中々に癖のある神器であ
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