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緋弾のアリア-諧調の担い手-
終わり始まる
始まりの終わり、終わりの始まり
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開いて、外界へと足を踏み入れた。






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遠くより、遥か遠くより音が聞こえてくる。それはノイズが混じり、ハッキリとは聞き取れない。
だが、次第にノイズは消え、明瞭と聞こえる様になってくる。

瞳は開く事が出来ない。だが薄らと光を感じる。
瞳が見えない分、聴覚が発達している様に感じる。


「……この子が」


最初に耳にしたのは、若く柔らかい女性の声だった。
それに続き赤子の元気な鳴き声が聞こえてきた。


「…この子が私達二人の赤ちゃんですよ“□■”さん」

「…髪の色は“■□”譲りだな」

「ふふっ、それなら目元なんかは“□■”さん譲りで、そっくりですよ」


最初に聞こえてきた女性の声と男性の会話が耳に入ってくる。
今、気付いたが優しく、揺り籠の様に腕に抱かれている事に気が付いた。
そして、この赤子の声が自分のモノという事にも。

どうやら俺は無事に転生というものを出来たらしい。そう思うと何処か感慨深いものがある。
状況から察するに、この二人が俺の今世の両親なのだろうか。


「“□■”さん、この子の名前は決めているのですよね?」

「ああ、俺と“■□”から一文字ずつ取ってな。いいか、お前の名前は―――」


俺の父親は一息置き、俺に言い聞かせる様に俺の新たな名前を宣言する。


「“倉橋時夜”だ。よろしくな、俺達の愛しい息子!」


―――倉橋時夜

…ああ。そう自分の名前を言われた時、初めて聞く名前なのに言い知れぬ馴染みを感じた。
まるでずっと、そう呼ばれてきたかの様な。

それと同時に生を受けた歓喜。それが自らの心の内で確固たる形を形成していくのを感じ取った。


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