終わり始まる
始まりの終わり、終わりの始まり
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
開いて、外界へと足を踏み入れた。
2
遠くより、遥か遠くより音が聞こえてくる。それはノイズが混じり、ハッキリとは聞き取れない。
だが、次第にノイズは消え、明瞭と聞こえる様になってくる。
瞳は開く事が出来ない。だが薄らと光を感じる。
瞳が見えない分、聴覚が発達している様に感じる。
「……この子が」
最初に耳にしたのは、若く柔らかい女性の声だった。
それに続き赤子の元気な鳴き声が聞こえてきた。
「…この子が私達二人の赤ちゃんですよ“□■”さん」
「…髪の色は“■□”譲りだな」
「ふふっ、それなら目元なんかは“□■”さん譲りで、そっくりですよ」
最初に聞こえてきた女性の声と男性の会話が耳に入ってくる。
今、気付いたが優しく、揺り籠の様に腕に抱かれている事に気が付いた。
そして、この赤子の声が自分のモノという事にも。
どうやら俺は無事に転生というものを出来たらしい。そう思うと何処か感慨深いものがある。
状況から察するに、この二人が俺の今世の両親なのだろうか。
「“□■”さん、この子の名前は決めているのですよね?」
「ああ、俺と“■□”から一文字ずつ取ってな。いいか、お前の名前は―――」
俺の父親は一息置き、俺に言い聞かせる様に俺の新たな名前を宣言する。
「“倉橋時夜”だ。よろしくな、俺達の愛しい息子!」
―――倉橋時夜
…ああ。そう自分の名前を言われた時、初めて聞く名前なのに言い知れぬ馴染みを感じた。
まるでずっと、そう呼ばれてきたかの様な。
それと同時に生を受けた歓喜。それが自らの心の内で確固たる形を形成していくのを感じ取った。
.
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ