第十五話 〜暗雲来たりて【暁 Ver】
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……以前起こった事件で負傷し、病院で治療を受けていた研究員の一人が、本日亡くなりました。因って、本日七月十六日、十七時三十分をもって機動六課がこの事件の担当となる。本局からの通達や。今回に限って、ジャミング無しで映像が残っとった。故意なのかそうでないのか。いずれにせよ、あからさまな挑発やな」
そう言いながら八神はやては一枚の映像をスクリーンへと映し出す。そこには。スプレー缶で書き殴ったような赤い──── 文字。
──── 六課の淑女諸君。月夜に踊る準備は出来ているか?
ヴィータが怒鳴り声と共に、拳をデスクへと叩きつける。
「困ったわ。生憎とドレスって、持ってないのよね」
「ティア、不謹慎だよ」
スバルから咎められたティアナは、沈黙をもって返答とした。アスナは窓の外を見ており、最初からスクリーンなど見てはいない。八神はやては皆の様子を見ていたが、次に同じ現場に残されていたサインをスクリーンへと映し出した。……一人の女性を気遣わしげに見つめながら。
──── Jail Scaglietti.
がたりと。椅子を蹴倒すような勢いで立ち上がる。優しげな赤い瞳は鋭く細められ、豊かな金糸がざわりと揺れる。そんな彼女の様子を幾人かは心配げに。幾人かは興味深げに。一人の少女は不思議そうに。彼女を見ていた──── 遠雷轟き、雨未だ降り止まず。
〜暗雲来たりて 了
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