アインクラッド編
探偵&助手、再始動
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リト二人が今回の事件の解決に身を乗り出した元々の理由――《圏内の安全を証明すること》はこちらが求めていたものであって、彼らが解決したかったであろう半年前の事件とは何ら関係ない。ギルドプレイヤーとのパイプを持っているのだってこちらであるし、万事解決したのだ。アスカには彼らを責める気持ちは一切ない。
というより、
「そうだな。……てか、何でそんな楽しそうなんだ、アスカ?」
「さあ?」
「疑問に疑問で返されても……いや、別に事件を解決して嬉しいんだったらいいけどさ……」
ぶっちゃけ、素直に気持ちを認めたアスカにとって、こうしてキリトと顔を合わせる理由を用意できたので満足でもある。
アスカが楽しそうな理由をキリトは盛大に勘違いしているが、彼女が好意などの感情に疎いことは理解している。アインクラッド攻略と並行してキリト攻略を進めればいいだけなのだ。ボスより堅物だろうが……幸い、時間はある。
と、何故か笑顔を浮かべるアスカを心配するようにキリトが見つめ――笑顔を見せて心配される辺り、昔の自分がどんなだったか反省しないでもないアスカである――そして何かを思い出したようにポン、と手を叩いた。
「ヤベ……そういや、エギルに事件解決した報告するのすっかり忘れてた」
「……わざわざ店閉めて協力してもらったのに?」
「いや、今頃四の五の言わずに荒稼ぎ中だろ。また気が向いたら店に顔出して伝える」
数日前、二人で店を訪れた時に皮肉を込めて言ったのであろうエギルの怪しい警句に対する皮肉を口にしつつ、手をひらひらと振るキリト。商売優先ではなく、彼なりの事情ゆえにエギルが事件捜査から身を引いたことを知るアスカとしては、思い出した今すぐにでもメールの一つでも送るべきだと思うが……彼はキリトが選んだ協力者だ。事の顛末を伝えるとキリトが言うのなら、口を挟むものではないだろう。
注文しておいたコーヒーを一口飲み、ふとアスカは今回の事件において多大な迷惑をかけたであろう人物のことを思い出した。キリトも同じタイミングで同じ人物を思い描いたようだ。にやり、と片頬を吊り上げながら器用に笑う彼女が訊ねてくる。
「ヒースクリフ殿は何か言っていたか?」
「いいや、協力してもらったから、一応全部話したけど……いつも通り『そうか』の一言」
ヒースクリフが攻略以外の話に一切の興味を示さないのは血盟騎士団の団員の中では既に当たり前となっている事実だ。自分が関わっていた圏内殺人のロジックを聞かされてもいつも通りの落ち着いた表情で、通常通り真鍮色の瞳に不思議な色合いの光を浮かべ、常のように一言返事をして――それで終わりだ。
あれだけ無関心なのはギルド団長としてどうかと思わなくもないが……いざボス攻略となると無言で全員の背中を支え、戦え
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