暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第55話 向き合う刻
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い。宿で休んだから状態異常になっている訳でも、ダメージを負っている訳でもない。
 武器を軽く使用し、ソードスキルも 何度か試したが特に問題ない。

「……それはそうだろう。……別に問題ない筈だよな」

 リュウキはそう呟いた。元々今までのプレイの中で、身体に、精神に異常等は何処にもなかった。
それは、初めてからずっとだった。BOSS戦で多少傷ついたりはしていたが、それ以上のものは無かった。

「行くか……」

 リュウキは森の奥を目指し、歩を進めた。
 今後の攻略の糧にする為に、自分のある目的の為にも。足を森に更に一歩踏み出したその時だった。

「リュウキくんっっ!!!」

 突然、背後から森の入り口側から声が聞こえたのだ。大きな声で、自分の名前を呼ぶ声が。

「……ん」

 その声に誘われるがままに リュウキは、振り返った。
 その先には、誰かがいた。

「はぁーはぁー……」

 息を切らせた少女が立っていたのだ。両手をぎゅっと握り締めている少女が。
 肩で息をしているところを見ると余程飛ばしてきたのだろう。この世界においてもそう言った身体的なものも現れるのだ。必要以上運動を行うと起こってしまうのだ。
 ただ、リュウキには、何故彼女がここにいるのかが判らなかった。

「……レイナ。どうかしたのか?」

 そう、此処に来ていたのはレイナだった。その表情は心配しているかのようだ。キリトと同じ表情をしていたから、リュウキにも直ぐに判っていた。

「『どうかしたのか?』じゃないよっ!!」

 レイナは、その表情をそのままに、リュウキの傍にまで、走って駆けつけた。

「き、キリト君に聞いたんだよっ! どう言う事! 一体どうしたのっ!?」

 リュウキの手を両手で握りしめそう問いただした。レイナの言葉を聞いて、リュウキは完全に悟った。何故、彼女がここに来たのかも全て。

「ああ……、なるほど。……レイナ、キリトに聞いたのか」

 『おせっかいな男』 と内心リュウキは、キリトの事を思ってしまっていた。
 だが、決して言葉にはしない。自分はあの男に、それ程までに心配をかけたと言う事は事実なのだから。

「お願い、答えてっ! なんでなの……? わ、私と……一緒だった……から? ……リュウキ君が調子を崩しちゃったの……私のせいなの……?」

 問いただしている内に、レイナは次第に泣き顔の様な表情でそう聞いていた。
 
 今回のリュウキの事。どうして そうなったのか、普段と一体何が違ったのか。……何故なのか。
 レイナはそれを、ずっと移動中も頭の片隅で考えていたんだ。……考えれば、考える程、自分と出かけた事が切っ掛けとしか思えなかったのだ。

 だから、 断腸の思いで聞いた。
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