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木ノ葉の里の大食い少女
第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
シカマル
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は解け、今じゃキンは一人だけに戻っていた。けたたましい鈴の音は止んでいる。この影をキンの影につなげるのには全く苦労したものだ、とシカマルは一人心の中で笑った。

「まだ気づかねえのか?」
「――まっ、まさか!」
「そのまさかだバーカ。こんな高さにある糸に、影が出来るわけねーだろ」

 キンの手元から伸びていた細い二本の影がゆがみ、くねりながら形を変えてキンの影を完全に占拠する。

「俺は自分の影を伸ばしたり縮めたり出来るんだよ」

 影がどんどん太くなり、キンの体の自由は更に制限されていく。

「これは糸の影じゃなかったのか……!」
「そ。俺の影を細くして、糸のように見せかけ、お前の影にくっつける」

 言いながらシカマルはキンを指差した。キンの右腕もそれにつられて持ち上げられ、すっとシカマルを指差すことになる。それでもキンは強気に言い返した。

「だが、それでどうやって勝つというんだ? 同じ動きをするだけなのに!」
「うるせえなあ。黙ってみてろ!」

 シカマルは自らのホルスターに手を伸ばし、そしてそれをあけた。キンの手もまた、操り人形のようにぎこちない仕草で自らのホルスターをあける。シカマルは中から一枚、手裏剣を取った。キンもホルスターの中から一枚の手裏剣を取る。

「バカか? お前、そのまま攻撃したら、お前も傷つくんだぞ!?」
「んなのはわかってる」
「……っまさか、お前……!」
「手裏剣の刺しあい、どこまで持つかな?」
「バカ寄せ!」

 キンの叫ぶ声はほぼ掠れてしまっていた。一方シカマルは、キンが自分とシカマルのこの会場に於ける位置関係を悟られないように注意を配りながら、それを投擲する。二枚の手裏剣が交錯しあいながら、めいめいの目標へと突き進んでいく。シカマルが体を後方へと倒す形でそれを避け、さらに両手を床につけて体を支えた。手裏剣が壁に突き刺さる。キンの体も同じ動作を繰り返した。しかし彼女の直ぐ後ろには壁があり、彼女の頭は壁に激突した。

「へへッ! いっちょあがり! ――忍びならなあ、状況や地形を把握して戦いやがれ! お互い同じ動きをしても、俺とお前の後ろの壁との距離は、お互い違ったんだよ」

 もしキンが状況や地形をちゃんと把握できていたのならとっくに棄権していたはずだが。そういう意味で、戦う前から勝算がないと悟って棄権したはじめはキンよりも賢いだろう。自分にとって圧倒的不利な相手とは戦わないのに限る。

「手裏剣は後ろの壁に注意がいかないよう、気を逸らすのに利用しただけだ」
「……ンなの言っても聞こえてないと思うぞ」
「――勝者、奈良シカマル」

 ヒルマがキンに駆け寄って、「脳震盪を起こしていますね」と呟き、医療班を手配した。続いてヒルマはシカマルの腕から千本を抜
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