第七十四話 獣の伝説
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「クソッ!」
アスランは走っていた。後ろから時々放たれる銃弾は足を止めるためであり、こちらを直接狙ったものではないため、当りこそしないものの逃走するルートが限られ、相手の狙い通りそのまま走り抜けることが出来ずにいた。
「そろそろ大人しく捕まったらどうです!」
「誰が!撃ってきたのはレイの方が先だろうに!」
レイの言葉は最早問いかけですらない一方的な主張であり、当然それをアスランが受け入れることはない。そして、未だにアスラン自身は銃を抜いてはいなかった。銃を抜いてしまえば、その時点で議長の思う壺だろうとそう判断しての事だ。
最早手遅れかもしれないが、抜いてしまえば確実に言い訳(というのもおかしな話だが)はきかなくなる。向こうが先に取り出したのだとしてもこちらが反撃してしまえばその時点でどう言い繕う事も出来ないようになるに決まっている。そう判断してアスランは銃を抜かないまま、精々あちこちの方向に走って相手の攻撃から逃げる事ぐらいしか出来なかった。
「ともかく、格納庫にまで行けば……」
MSに乗り込めば少なくとも施設内からは逃れられる。問題はその後だが、セイバーが単独でプラントから大気圏突入まで移動できたことから逃げること自体は不可能ではないはずだと予測できた。
「どうしました?その先は行き止まりですよ」
後を追ってきているのはレイ一人だ。メサイア内部にいる他の人員も止めるために動くこと位はするものだと思っていたが、予想に反して警報すらならされていない。内々に始末を付けたいのか、それとも他に意図があるのか?少なくとも、アスランにとっては脱出のチャンスはまだ残されていると言っていい状態である。
「どこに向かえば格納庫に行ける……?」
小声で自身に確認する様に考え込むアスラン。メサイアで議長の所まで案内をしていたのはクラウであり、その時はおそらく最短ルートで連れてきたはずである。そしてアスランは攻撃から逃れるため必死に走って逃げたので、現在地がどこなのかが分からずにいた。
元の道をたどれば格納庫までの道はわかるが、その為にはアスランは正面からレイの銃撃を掻い潜らなければならない。
「クッ……!」
ひとまずレイの攻撃から難を逃れようと闇雲に走り、道中ですれ違った相手は敵意を向けてきたなら体術で捌く。流石に肉体的にもトップクラスの実力を持つアスランを、それも不意打ちじみた状況で止めれる相手はそうそういない。
そしてまた一つ曲がり角をまがった瞬間、人影が見えたので咄嗟に行動に移す。右手を伸ばし服を掴んで転ばそうとしたのだが、相手も相当の実力者であったのかその攻撃を左腕で防ぎ、そのまま右腕の方も伸ばしてアスランを逆に吹き飛ばそうと反撃する。アスランもそれを体をひねることで躱して、互いに立ち位置を反転
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