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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
魔術師たちの安寧
遠坂凛とアーチャー
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ることは間違いない。しかしこちらから内部を確認する術はなかった。

 中からの反応を窺うに、俺の呼び鈴攻撃で多少なりとも怒っていると思われる。
 さすがにこれ以上鳴らすことは躊躇われるし、何よりあまり機嫌を損ねて話をしてもらえなかったら本末転倒だ。
 この家は幽霊屋敷と名高き遠坂邸であり、99%中にいるのは遠坂凛その人なのだから、これ以上余計な真似をした場合における後の報復が怖い。

「……? にしては出て来ないな?」

 最初は出て来れない事情があったにせよ、これほど気に障ること(命名:呼び凛アタック)をされれば文句の一つも言いに出てくると踏んでいたのだが。

(逆に誰が出てやるもんですかって思っちゃったんじゃない?)

 クスクスとフェンサーが他人事のように笑っている。

 なるほど、そういう考えもアリっちゃアリか。
 でも遠坂凛という少女の気性を鑑みれば、そういう消極的対応よりは何かしらのアクションを起こすはずだ。

 中に居ることは分かっている。
 分かっている以上、居留守を許すつもりは毛頭ない。

 とうとう俺は、都合10回目になる呼び凛アタックを発動した。

 そうして数分の間を置いて、ガチャリ、と。
 今まで頑なに沈黙を保っていた、遠坂邸の玄関扉がついに開かれる。

 だが中から現れた人物は、予想の少し斜め上だった。

「先程から何度も呼び出して何用かね。普通はすぐに諦めるものだと思うが」
「えっ……?」

 何かあかいのが現れた!
 いやぶっちゃけ凛も赤いんだけどそうじゃなく。

 どう見ても目の前に居るのは、凛が契約した弓兵のサーヴァント。
 出てきたのが凛ではなくアーチャーであることを確認した瞬間、フェンサーも警戒態勢に入った。





 俺が聖杯戦争に関わることになったあの夜。
 バーサーカー相手の共闘で、フェンサーもセイバーもお構いなしに吹き飛ばそうとしやがった奴だ。

 あの時点で凛がまとめて潰せなんて指示を出したとは思えない。

 ならばアレはこの弓兵の独断。
 時と場合によっては、己が主の意にそぐわぬ事も平気で行うということ。

 自分たちの利になれば、己の理に適えばあらゆる手段を躊躇しない。

 アーチャーは確か別の日の夜にも、柳桐寺で見かけたことがある。
 元々どういうつもりだったのかまでは知らないが、キャスターとの交戦は凛の命令外の行動だ。

 つまり凛に戦闘意思がなくとも、ここでアーチャーが何らかの行動を取れば開戦せざるを得なくなる。

 これは完全に想定外だった。

 仮に凛と揉めるようなことがあっても説得する、場を収める自信はあったのだが、まさか出迎えに来るのがアーチャーだなんて。






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