§52 小ネタ集part4
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……っと」
黎斗の左手にあるのは、黒い表紙の古書。開かれたページに書かれていたのは僅か一文。
「洗脳してきた神殺しを洗脳し、暗殺任務の発生を阻止せよ」
下の方に年代と場所が記載してある。そして「優先度A」の文字。
「アイーシャ夫人の能力を拝借できるタイミングで渡してきてくれる、なんて。流石だよ全く」
これを”冥王”から渡された時は驚いたものだ。まさか「彼」の知り合いだったとは。
『「”因果律の番人”から神を欺く者へ。依頼していた黒の預言書だ。といえばわかる」と言われたのだが』
あの時の冥王の様子は見物だった。何せ全身で困惑を現していたのだから。因果律の番人、なんて仇名をまだ使っているとは思わなかった。仇名進呈の際はすごく渋っていたのに。
「まぁ。僕以外が見ても理解出来ないわなぁ。だからスミスに渡したんだろーけど」
ページを捲りながら苦笑する。どのページも似たことしか書いていない。これでは中身を読まれたところで意味不明だろう。言付けされた単語も厨二すぎて理解できるとは思えないし。
「さて。現代に戻るかな」
アイーシャ夫人の権能を拝借、八雷神で調整することでかなりの精度での時間移動が可能になった黎斗だからこそ言えるセリフ。アイーシャ夫人より扱いやすくカスタマイズされているのは内緒だ。もっとも、借りる過程で劣化しているからトータルとしては一長一短だ。
「じゃあね、僕。あとは頑張れ」
これからの苦難を”思い出して”エールを送り、黎斗は現代に帰還する。異界の風がふわりと吹いて、古書の末尾のページがはらりとめくれた。黎斗の字で書かれたそれは簡潔な文。
――――伊邪那美命顕現まで、あと二か月
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