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魔王の友を持つ魔王
§52 小ネタ集part4
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った、こんなヤツと会うなら今日花嫁泥棒なんてするんじゃなかった。相手がイヤミな御曹司だからってこんなに派手にやらなければ良かった。後悔がぐるぐる頭の中を駆け巡る。

「よっと」

 怪物は、音も無く着地した。こちらへ一歩一歩歩いてくる。彼は音を発していない。が、確かに「死神」の足音を聞いた。

「とりあえず慰謝料を請求します」

「……は?」

「適当になんか美味しい物。お兄さんのオゴリで」

 彼に拒否権は、無かった。

「あ、あぁ……わかった」

「それと。お兄さんの名前は?」

 偽名を言うか、否殺される。眼前の少年はただの少年ではない。人の皮を被った――

「――そうだね」

 少年が、ニヤリと笑った。胆が冷える。心を読んでいるとでもいうのか――?

「ファウスト。ゲオルク・ファウストだ」

 これは。悪魔の契約が交わされる前日譚。







《闇夜の惨殺者》

「ようこそ。異国の同胞」

「あ、貴女は…?」

 豪奢な宮殿の中で、彼は眼前の美女に誰何する。足下に隙間なく敷き詰められた絨毯は軽やかで美しく、壁際に飾ってある調度品は素人目にも高価なことがわかる。この時代(・・・・)でこれだけの代物を作れる、ということに遙か過去(みらい)の記憶が蘇った。

「呼んでしまってごめんなさいね、驚いたでしょう。身内に会うのは久しぶりだから驚いてしまって」

「い、いえ……」

 からからと、笑う彼女は妖艶で美しい。初な少年は顔を赤く染め視線を逸らす。――それが命取りになるとも知らずに。

「貴方の名前は?」

「えっと、その。水羽黎斗、です」

「ミズバレトー?」

「いえ、みずはねれいと、です」

「あらそう。ありがとう」

 彼女の目が、細くなる。まるで獲物を捕らえる狩人のように。

「えっ…?」

 次の瞬間、少年の眼前に彼女は居た。少年の直感が警鐘を鳴らす。なんだかわからないけど不味い不味い不味いー!!

「貴方が初心者(・・・)で良かったわ」

「――!!」

 美女の顔が、少年のすぐ前にあった。その美貌は警鐘を鳴らしていた直感すらも虜にし。一瞬、鳴らすことを忘れさせた。

「これはささやかな、ご褒美」

 二人の唇が、重なる。

「汝、水羽黎斗の主が命ずる――」

 少年の精神が深淵の奥底へ沈んでいく。四肢は押さえつけられ、抗う術は既に無く。意識が奈落へ落ちていく――

「これから宜しくね。私の可愛いお人形」

 少年は意識を失い倒れ込む。明日まで目を覚ますことはないだろう。そして明日からは、美女の忠実な駒として働くことになるのだ。神殺しを駒として用いれる、己が幸運を彼女は一人、喜
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